安堵霊タラコフスキーさんの映画レビュー・感想・評価 - 78ページ目

安堵霊タラコフスキー

安堵霊タラコフスキー

水槽と国民(2015年製作の映画)

4.0

水槽の長回しの途中でいきなり音楽ぶっこまれると、ちょっと油断してたこともあってめちゃビビる。

あとはストローブ自身の朗読ってのは今までなかったから新鮮だった。

あとルノワールの30年代の映画って同
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共産主義者たち(2014年製作の映画)

3.7

デジタルとフィルムの違いって連続して見ると結構わかるものだなと改めて感じた。

ジョアシャン・ガッティ(2009年製作の映画)

3.5

たった2分で人物の写真映してルソーの朗読を乗せただけの映画があってもいい、自由とはそういうことだ。

魔女 女だけで(2009年製作の映画)

3.9

ここで触れ忘れていたストローブの作品。

木々の根っこが印象的。

レイダース/失われたアーク《聖櫃》(1981年製作の映画)

3.7

実はちゃんと見たのは初めてだったけど、そこそこ面白かった。

こういう探掘アクションでも劇中でナチス残党を一掃してる点は、のちにシンドラーのリストを手がける監督らしさがあった。

でも一番驚いたのは冒
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ヒッチコック/トリュフォー(2015年製作の映画)

4.5

引用された作品群を見ているとヒッチコックの類い稀なるセンスに改めて驚かされるけど、未見の作品も多かったからもっと見るべきだったと反省。

ヒッチコックとトリュフォーの対談が聞ける点も貴重。

ヒッチコ
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ミッシェル・ド・モンテーニュのある話(2013年製作の映画)

4.0

老人を起用したり死に関する文章を選んでいたり、やはりこの頃のストローブって結構死を意識していたらしい。

それはさておき木漏れ日の当たるモンテーニュの坐像がクール。

そのモンテーニュの坐像に女性の朗
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(2012年製作の映画)

3.8

まずいつも以上に長い黒味の音楽パートに驚く。

映像的には安定のストローブ節としか言い様が無いけど、慰めようもないものもそうだったようにここらへん老人を被写体にした作品が多い気がする。

慰めようのない者(2011年製作の映画)

4.5

最早馴染み深いイタリアの詩人パヴェーゼの詩か戯曲を引用した作品。

岩に座ったおっさんと小さな岩に片足乗っけたおばさんがただそのテキストを読み上げるだけなのだけど、その発せられる響き自体が心地良いし二
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苦い銭(2016年製作の映画)

2.0

フアンさんも良かったからこれも見ようと思ったけど、失敗だったかもしれない。

実際そこで働いてる人物撮ってるにしてもモキュメンタリーにしても、撮影者の存在があからさますぎる演出は試みが斬新な場合を除い
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ハリウッドにくちづけ(1990年製作の映画)

3.5

キャリー・フィッシャーの自伝を基にした映画。

メリル・ストリープとシャーリー・マクレーンの演技合戦は勿論撮影の裏側的場面も中々に面白くてそこそこ楽しめた。

客演がジーン・ハックマンにアネット・ベニ
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シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

4.3

ギレルモ・デル・トロが金獅子賞だけじゃなくアカデミー賞も受賞しそうということで、彼の作品でめっちゃ好きなものってこれまで無かったからそんな期待せずに臨んだけれども、予め期待値を低く設定したこともあって>>続きを読む

ジャン・ブリカールの道程(2008年製作の映画)

4.7

ダニエル・ユイレが関わった最後の作品。

最初小島をボートで進みながら長回しで映した後で唐突に黒味になってジャン・ブリカールの声が挿入された箇所は正直ビビった。

でも途中からモノクロになりジャン・ブ
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アルテミスの膝(2007年製作の映画)

4.1

後の短編の先駆け的作品。

あの彼らの出会いでも思ったことではあるけど、簡素な私服で神話的台詞を発した方がエルシャダイのルシフェルみたく超現実的な趣がある。

相変わらずの森と木漏れ日の美しさも良い。
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ヨーロッパ2005年、10月27日(2006年製作の映画)

3.4

どうやらとある事故が起こったらしい場所らしいが、そこをエンドレスエイトみたく微妙に違う撮り方で5回連続して流す試みは、確かに面白かったけど当然ながら困惑。

あの彼らの出会い(2006年製作の映画)

3.9

雲から抵抗への前半を長くしたような構成の映画。

撮り方で特に興味深かったのは最初ので、一見普通に男女が喋っているように見えるけど人物の口が見えないから台詞を言ってるのがこの二人とは限らないと思ったら
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女が階段を上る時(1960年製作の映画)

2.9

成瀬の映画で評価の高いものだけど、自分には良さがよくわからない。

何故というと役者陣の演技が良かったりタイトルを象徴するカットは小気味良かったりするけれども、基本的にいつもの成瀬作品らしくドラマが主
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大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

5.0

トリュフォーが長編デビューしていきなりカンヌで監督賞を受賞した代表作。

ジャン=ピエール・レオーら演じる不器用な子供らの溌剌とした姿だけでずっと見ていられる魅力が備わっており、あこがれもそうだけどト
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ルーヴル美術館訪問(2004年製作の映画)

3.4

2本連続で見たせいもあるけど、殆ど絵画や彫刻をフィックスで映したカットが長々と続く為に結構ウトウトしてしまった。

でも足立正生的、というか連続射殺魔みたいなアプローチは悪くない。

辱められた人々(2003年製作の映画)

3.9

やっぱりこういうフィックスであまり動きのない人物を撮るような作品は1時間くらいが妥当。

あと前作同様山中の映像が多かったせいかラストの家でのシーンの方が逆に印象に残った。

労働者たち、農民たち(2000年製作の映画)

3.3

後の慰めようもないものとか影たちの対話とかみたく山中の景色やそこで台詞を発する人たちの映像は美しいのだけど、やはりこの手の映画に2時間ってのは結構眠気や集中力の面でキツい……。

こういう作品は長くて
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あこがれ(1958年製作の映画)

4.3

奔放な少年らに若者の恋愛にと後のトリュフォー的要素が既にふんだんに盛り込まれた作品。

話は全体的に大したものでないけど、兎に角少年と若い男女の姿を描こうという強い意志が感じられるのが良かった。

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旅情(1955年製作の映画)

3.9

ヴェネツィアの風景や生きる人物が映えた作品。

熟年の男女の恋愛ってのは珍しい題材であるとは思うものの、そこまで秀でた部分は無いから正直流して見た。

でも水の都の描写はどれも一々美しいものがあったか
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巴里のアメリカ人(1951年製作の映画)

3.9

アカデミー賞の作品賞を受賞した映画で数少ない未見の作品だったけど、最後が全てって感じだった。

ピアノの使い方とかが出色の音楽パートは兎も角平凡なドラマパートは前振りとしても長すぎた感はあったけど、あ
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家族生活(1971年製作の映画)

3.3

冒頭の俯瞰と仰視の対比映像、全体的に見られる第三者の一人称的長回し、時折映る木々の美しさ、主人公の父親の無駄に大仰な覚醒シーン、ラストの田舎から都会への移行と、中々面白いシーンも散見されたんだけど現実>>続きを読む

シチリア!(1999年製作の映画)

5.0

ストローブ=ユイレの作品で最もオーソドックスなものの一つなのだけど、市井の人々を描いているせいもあって映像から終始ベルイマンやドライヤーらの作品を柔らかくしたような情緒を感じずにはいられず、何とも味わ>>続きを読む

今日から明日へ(1996年製作の映画)

4.1

モーゼとアロン以来久々にシェーンベルクのオペラを題材にした数少ない映画。

最初にオーケストラの準備風景を映してからオペラパートへ進む点にメタ的要素が感じられたが、そういうメタ要素抜きにしても感情的に
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イージー★ライダー(1969年製作の映画)

5.0

21世紀になってもビートルズの音楽が全く色褪せないのと同様に、この映画も50年近く経っても新鮮味を損なっていない。

ピーター・フォンダとデニス・ホッパー、そして途中でジャック・ニコルソンを加えた男達
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隣人(1952年製作の映画)

5.0

ダリが絶賛したらしい、三角関係や物欲を風刺した短編。

今では結構認知されているストップモーションを導入して作られた実験性のある作品で、写真の連続であるという映画の性質をまさに活動写真的に駆使したマク
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アンティゴネ~ソポクレスの《アンティゴネ》のヘルダーリン訳のブレヒトによる改訂版1948年(1992年製作の映画)

4.9

いつもの通りの神話的戯曲の映画化だが、今回はブレヒトの改訂版ということもあって他の作品とは少し趣を異にした良さがあり興味深かった。

まず一つ目として4人の賢人が一緒に台詞を言うシーンが挙げられるが、
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セザンヌ(1990年製作の映画)

4.0

セザンヌの写真と絵画、ルノワールのボヴァリー夫人の抜粋、エンペドクレスの死からの抜粋、そしていくつかの風景の映像で構成した映画を臆面も無く発表できるストローブ=ユイレ、何度も思ったがやはり実に剛胆で挑>>続きを読む

黒い罪(1988年製作の映画)

4.0

エンペドクレス的な人物が寝てる冒頭からもわかるようにエンペドクレスの死の続きになっている。

そんなこともあって画面的な感想として殆ど前作と変わらないのだけど、相変わらずこのロケ地の山々と構図は良いし
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若者のすべて(1960年製作の映画)

3.1

昔は結構好きな映画だったのに、嗜好が変わってから再び見るとそこまで良いとは思えなかった。

基本的にネオレアリズモな演出で人間描写をメインに映した映画だけど、人物の影のつけ方とかのっぺりしすぎていて全
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小麦の買占め(1909年製作の映画)

3.7

ストローブ=ユイレが四部の提案で使用していた作品。

室内のシーンは人間が小麦に生き埋めになる皮肉的な箇所以外そこまで面白くなかったけど、野外での撮影パートはどれも哀愁が漂っていて良かったし、特に小麦
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エンペドクレスの死(1987年製作の映画)

4.2

ストローブ=ユイレの作品ではこういうギリシャ悲劇的作品がやはり一番様になっているように思う。

最早お馴染みとなった、古代的服装に身を包んだ人物が自然の中最低限の動きで演劇を行う様式は、最初見たとき非
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ソナチネ(1993年製作の映画)

3.9

いきなりの大杉漣の訃報に勿論驚きを隠せないし実に残念だが、彼といって真っ先に思い浮かぶのはやはりこの出世作なので、断片的な記憶を頼りに印象を綴る。

とはいえなんと言ってもこの映画はあまりに独特なヤク
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