ブレッソンを代表する名作。緊張感を増幅するために、大音量で見るべし。
くたびれた老人になるまで生きて、過去を懐古するのはひどく寂しい事だと思っていたけど、実はそんなに悪いことでもないのかもしれない。
溝口宮川の黄金タッグ。心中物語の祖、近松門左衛門の作品をベースにした悲劇。フェミニズム。
ポンヌフ橋の壮観なショットに息を呑んだら、それらが全てセットだと知ってビックリ。史劇スペクタクル並の製作費と知って二度ビックリ。フランス映画史上最大スケールの恋愛ドラマ。花火のシーンは生涯ベスト。
ほとんど下ネタトークしかないが、異常に面白い。エンディングのカッコよさは感動すら覚える。
「ニュー・シネマパラダイス」が、映画の受け手側からの愛なら、この作品は、映画の作り手側の愛で溢れている。
受け手にとって映画は出会いの連続だが、作り手にとっては別れの連続である。
恐らく、宮﨑駿監督は、二郎の作図(仕事)への情熱を自身のそれと重ね合わせながら、この映画を監督したのだろう。脚本面でのベストジブリ映画。
ピラミッド=理想の探究(タルコフスキーの「ノスタルジア」からの>>続きを読む
Talking Headsが最高なので、この映画も最高です。
金かかっていてかつ、映像として実験的な宇宙表現。ディズニーばりご都合主義ストーリーはご愛敬。
空間を自在に操る監督は数多くあれど、同時に時間まで自由に操作できてしまう監督は、アンゲロプロスだけだった。騒乱の20世期、バルカン半島最初の「眼差し」を通して、人間の心の帰郷を描く作品。
感情表現があっさりしてるのに、感動できるのはなぜだろうと、ウェス・アンダーソンの作品を観ていると思う。
オーソンウェルズが出てくるシーンと、最後の鬼ごっこが白眉。他は普通のサスペンス。パルムドールを取ったのが意外。
クスリの幻覚の様なぶっ飛んでる映像とは裏腹に、内容を紐解くとかなりの社会派。「これはパイプではない」的な終わり方で拍子抜けだが、地獄の様な映画から救われるラスト。
このレビューはネタバレを含みます
社会的弱者のカウンター・アタックを描いた映画には珍しく、すべてを失っていくのではなく、最初から何も無かった状態だったという設定は目新しかった。脚本的な面白さはそれぐらいなもので、他のすべての魅力は、ホ>>続きを読む
たけしが「ファーザー・クリスマス、ハハハ…」って笑うところが何故か泣ける。本業が俳優じゃない人ばかりで不安定だけど、見事に人情劇にまとめあげた。
「インセプション」というよりは、むしろ「ドラえもん」の長編映画を見ているような気分。ポップ&コミカルで面白い。平沢進の音楽が気持ち悪い。
伝説の69年のウッドストックのドキュメンタリー。ミュージシャンのアクトが素晴らしいのは言うまでもなく、この映画は開催者、観客、そして周辺住民のインタビューも撮っている。
これだけの大規模フェスにもかか>>続きを読む
ミュージック映画といえばこれ。日本人でも知っているR&Bのスターが集結したばかりか、終盤の大規模カーチェイスなど、金かけすぎの映画。何も考えずに楽しめる。
マイベストATG(アート・シアター・ギルド)映画の1つ。鈴木清順監督で最も重要な作品である今作、やはり只者ではない。映画だからできる、夢とうつつが交差する秀逸な描写は枚挙に暇がない。悪夢のように尻尾が>>続きを読む
寺山修司のエッセンスが凝縮された40分。母親を追い求めながら、激しい愛憎を抱く男。細かい心象描写。そしてラストシーンの襖が開いた瞬間の鳥肌が立つような映像。寺山修司の短編での名作。
けっこう面白い。エルヴィスの幽霊がチープすぎるのが最高。なんの因果か、エルヴィスのジャケットをパロったThe Clashのジョー・ストラマーも出演。相変わらずブシェミは損な役回り。
ブレッソン最後の名作で、集大成。もはや「スリ」で見せた愛による救済もなく、棒顔棒読みの男が機械のごとく金を求め続ける、資本主義の地獄のような作品である。これぞロベール・ブレッソン。
「注射器が無いんだ。」というセリフ。金でも職でもなく「注射器」。この映画の全てが詰まった一言である。咳払いと重機の轟音にかき消されるようなジャンキー達の言葉は、むしろ一層に響くだろう。ポルトガルの消え>>続きを読む
後半20分だけなら星5つ。どうやって撮影されたのか推し量り難い神々しい光のイメージに圧倒される。そこにたどり着くまでが冗長で苦しい。風呂の場面とかいるかなぁ?
画面が白飛びしまくってて不鮮明だが、ショッキングな映像の連発で、強烈に脳内に刷り込まれる。シニカル。
後半30分は鳥肌立ちっぱなしだった。ディズニーでも、ジブリでもない、オルタナティブなアニメ映画に育っていく作品だ。
衝撃的な映画だった。きっかけは浮気から、徐々に燃え上がっていき、収まらぬところまで来てしまったラスト。シネスコの画面の使い方が画期的。画面を半分に切って二画面で動いてるような構図の作り方がスタイリッシ>>続きを読む
いつも以上に情緒に溢れるストーリーが魅力な、小津監督のカラー作品。京マチ子、若尾文子の二大女優が映える。夏が舞台ということで、納涼感のある風景がインサートされる。いつも通りの小津イズムを感じる固定カメ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
いくら工事の音が鳴っているからってあんなにガンガンやったらバレるっしょ。まあ、この映画の本質はそこではなくて、五人の囚人の人間性を垣間見るということ。あと、元祖ASMRとも言える、録音の良さだろう。
シネマトグラフの真髄。冒頭でも示されている通り、スリの映像に対するこだわりがすごい。ブレッソン映画には珍しく、愛による救済がある。感動。
「行間を読む」という事が、映画においても成立することを証明した映画。中でも、「オデッサの階段」。兵隊の行進に次いで、民衆の苦痛に歪んだ顔を映すことで、心理的に虐殺の恐怖を増幅させる。このモンタージュ(>>続きを読む