うらぬすさんの映画レビュー・感想・評価

うらぬす

うらぬす

NIMIC/ニミック(2019年製作の映画)

4.0

湿り気のある気持ち悪さ。監督にはいつか長編ホラーを撮ってみてほしい。

ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう/見上げた空に何が見える?(2021年製作の映画)

3.7

ゆったりと流れる街の風景や、マジックリアリズム的な設定の可笑しみ、素っ気ないけどどこかロマンチシズムを感じる会話が組み合わさり、唯一無二の趣を生んでいる。2時間半は流石に長いと思いつつ、1時間半に縮め>>続きを読む

パワー: 警察権力の本質を問う(2024年製作の映画)

3.8

結局「権力は腐敗する」というやつなのだと思うとむなしくなる

瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.9

謎めいた過去が現在の輪郭を曖昧にすることで生まれる緊張感を駆動力にしつつ、あくまで緩やかなペースで登場人物の心情や日常をじっくりと描く。文芸の薫り豊かな、品格のあるドラマ。

映画検閲(2021年製作の映画)

3.4

低予算であること自体は別に良いんだけど、撮影がかなりチープで物語への没入を妨げられてしまった

クレオの夏休み(2023年製作の映画)

3.7

クレオの視線の動きや細かな仕草が彼女の感情を雄弁に伝えている。天才子役誕生の瞬間かもしれない。

Shirley シャーリイ(2019年製作の映画)

3.9

女性同士の関係性に潜む微妙な陰翳や、創造という行為の危うさを、一般的な伝記映画とは一線を画した虚実混交の演出や、不安を搔き立てるカメラワークなどによって追求したユニークな作品だと思う。

メイ・ディセンバー ゆれる真実(2023年製作の映画)

4.4

人間の心は、他者の存在に感応して乱反射する鏡のように複雑な光と影を生み出すものでもあり、同時に他者からの理解を拒む謎めいたブラックボックスでもあるということを、傑出した演技のアンサンブルによっていやが>>続きを読む

クワイエット・プレイス:DAY 1(2024年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ホラーとして特別恐ろしいという訳ではないものの、あの気色悪い化物がニューヨークの街を縦横無尽に駆け回るのは壮観。ただそれだけではなくて、ホラー映画において始めから死を目前に控えている人物を主人公に据え>>続きを読む

アウト・オブ・ダークネス 見えない影(2022年製作の映画)

3.7

原始的な恐怖とそれがもたらす避けがたい対立をソリッドな映像で描いた佳作。もう少し捻りがあるとなお良かった。

少女生贄(2013年製作の映画)

2.4

たまにはカスのC級ホラーでも観るかという気分になって観た。しっかり酷い出来で良かった。

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.1

原作の微妙な感情的なニュアンスを表現しきれずありがちなドラマに堕してしまっている

ロスト・フライト(2022年製作の映画)

3.5

彩度抑えめの映像表現は結構恰好良いし、ダイナミックなカメラワークのアクションシーンも様になっている。でも全体的にはそこそこのクオリティのポップコーンムービー以外の何物でもない。

チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ(2022年製作の映画)

3.8

ディズニーとは思えぬ際どいネタの連発。こういう作品が企画され、上層部に承認されるような企業であることにちょっと安心した。普通にチップとデールのバディものとしても楽しく鑑賞できた。

ノベンバー(2017年製作の映画)

4.0

奇怪な寓話のようでもあり、高尚な企みに満ちた前衛芸術でもある。異様な物語を美麗極まるモノクロの映像で綴るアンバランスな魅力で最後まで目を離せない。

ノー・マンズ・ランド(2001年製作の映画)

3.8

戦争の愚かさを嘲笑う我々もまた避けがたく愚かであることが改めて思い起こされて気が沈む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.0

無機質のようでもいて人間的な温かみに満ちているようでもいる不思議な質感の映像を以て、社会の隅に追いやられつつある労働者階級の悲喜交々の日常をささやかなユーモアと皮肉と共に描く、という監督のスタンスは大>>続きを読む

L'ete dernier(原題)(2023年製作の映画)

3.7

時には欲望が道徳を粉々に打ち砕いてしまうことを一貫して蠱惑的なトーンで表現できている

ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男(2023年製作の映画)

3.7

威厳とカリスマを備えた演技は感動的で、過去を顧みることの重要さを並の伝記映画よりも一層強く感じさせるのに一役買っている

セーヌ川の水面の下に(2024年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

環境問題が主軸だし、主要登場人物として明らかに意図的に女性が多く配置されていて、社会派映画の装いの硬派なサメ映画かと思いきや、現実味のないトンデモ設定でサメの能力が強化されている点ではB級映画っぽく、>>続きを読む

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

4.0

ほろ苦い喜劇のようなトーンと繊細極まりない演技で、寛容と敬意による心の交流を描く、良い意味で万人向けのドラマ。

スコット・スカーロック: ハリウッド・バンディットと呼ばれた男(2024年製作の映画)

3.9

豊富な素材の巧みな配置と鮮やかな語り口で、カリスマ犯罪者の物語を説得力のある形でまとめ上げている

ブラック・バービー(2023年製作の映画)

3.8

まとまりが無いようにも思えるけど、バービーにまつわる現象・出来事に様々な角度から光を当ててくれるおかげで、バービーそのものにさほど興味がなくとも最後まで飽きずに鑑賞できる

カラーパープル(2023年製作の映画)

3.7

物語としてはやっぱりそこまで感心しないけどミュージカルとしては文句無し

愛する人に伝える言葉(2021年製作の映画)

3.0

カトリーヌ・ドヌーヴの貫禄ある存在感は流石といったところだけど、感動的なドラマを作り上げようとする監督の意図が透けて見えるし、そのせいで逆に人物の感情の表現に偽りとぎこちなさが混じってしまっていて中々>>続きを読む

フェデラー ~最後の12日間~(2024年製作の映画)

2.9

称賛ばかりで多角的な分析など全くない、かなり薄味のドキュメンタリー

メドゥーサ デラックス(2022年製作の映画)

3.6

猥雑でもあり格式高くもあるビジュアル面の強烈さと比べれば、物語はやや空疎気味。そのことが歪な魅力を生んでいると言えなくもないけど。