六四二さんの映画レビュー・感想・評価

六四二

六四二

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クワイエット・プレイス:DAY 1(2024年製作の映画)

3.9

空から火を噴いて何か降って来るのが終末を思わせて怖い。「宇宙戦争』を最も怖がる映画ジャンキーだが、あれに似た絶望からくる恐怖を感じる。しかしこちらは三作目にしてなお地獄だ。クリーチャーも怖いのだが、擬>>続きを読む

フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン(2024年製作の映画)

3.6

人と金を動かす立場の人達の本音がこの映画に体現されているのではないか。PRという切り口でアポロ計画をとらえるのは斬新で面白い。お菓子のようなタイトルのよく似た作品があったが残念ながら未見だ。
チャニン
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ふたごのユーとミー 忘れられない夏(2023年製作の映画)

4.1

タイの風が吹き陽光が差し、匂いまで漂ってくる。思春期に差し掛かる同じ姿をした女の子が二人。ふたごのユーとミーは男の子の胸をときめかせる可愛さがある。
これを作ったのは双子姉妹の監督さん。それで、よかっ
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越後奥三面 山に生かされた日々(1984年製作の映画)

4.0

大変貴重な映像記録を見ることができた。
訥々と映像の解説のナレーションをしているのは監督だろうか。言葉を選びつつ独特の解説が印象的だ。
昭和59年、この地は活気があり、労力を厭わず誇りをもって生活する
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エンドレス・サマー/終りなき夏(1966年製作の映画)

3.3

サーフィンの経験はないがやってみたいことの一つだ。ヨットとかパラグライダーとか、自然の力を利用して動くものが面白い。
50年以上も前のこの映画が、後世に残すべきアメリカ映画としてアメリカ人に認識されて
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ディア・ファミリー(2024年製作の映画)

4.0

試練を乗り越えようとする家族の姿を描きながら、お仕事映画として優れたものだ。中小企業ならではの苦難と優位性。産学連携の問題などを非常にわかりやすく見せてくれる。
オヤジの突破力を見て、気持ちが奮い立た
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言えない秘密(2007年製作の映画)

3.8

日本版とこのオリジナル版は結末が大きく違った。それが映画の印象を全く異なるものにしている。より青春映画に相応しいと感じるオリジナル版のエンディングが気に入っている。

言えない秘密(2024年製作の映画)

3.6

この映画、第3クォーターまで耐えないと面白みが味わえない。ナイツのネタ、野球ジュゲムのごとしである。主演どちらかのファンであればダラダラ見るのもよかろう。

それにしても切ない。
見る者が時間の経過を
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フェラーリ(2023年製作の映画)

3.5

私の目で見れば出てくるクルマはクラシックカー
と言う大括りになる。エンジンや、排気管の見た目は厳ついけれども。
それに比してガルルルルというエンジンの咆哮の凶暴さには戦慄を覚えた。劇場で見る値打ちはこ
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THE MOON(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ソヌが発信する。「応答せよ」と。
映画の筋と全く関係のない盛り上がりをしてしまった。

韓国映画界の馬力には恐れ入る。実に韓国らしいトンデモ映画を真剣に作り上げている。日本にこれができるだろうか?
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潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断(2023年製作の映画)

3.8

古めかしく懐かしい。新作とは信じられないような映画だ。個人主義があまりにも強く主張され、芯になるものがない今の世で、この映画が新鮮に見えてしまうのは危険だろうか?

ベルギーの国民食がフライドポテトと
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WALK UP(2022年製作の映画)

4.1

観察者ホンサンス。
幾つも並べた飼育水槽からひとつ選んで観察記録をスライドにしたような、定例の研究発表会の趣がある。
映画産業に生息する人を観察対象にし、日常の延長を題材にするのは最近の路線と変わらな
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草の葉(2018年製作の映画)

4.1

チャーミングな映画である。
トスが上がり、ズームインでラリーが始まる。
カメラで遊ぶホンサンス。しゃべるサイドをカメラが追うのかと思いきや外される。
役者達の絶妙の掛け合いを打ち消すように天国と地獄を
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アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家(2023年製作の映画)

3.4

映画と同態度にアートが好きな人間である。
映像を通してアートに触れるのもいいとは思う。スポーツ観戦が解説付き、多角アングル、ズーム、スロー、リプレイなどを駆使したテレビの方が生で見るより面白いと感じる
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ボーン・トゥ・フライ(2023年製作の映画)

3.8

ワンイーボーがなかなかいい。トムクルーズを凌駕するアジアのエースだ。チャラチャラしないのがいい。
ドッグファイト映像など迫力があった。格闘戦を含め、本作でいろいろな飛行が見られる。どの部分がCGか、ど
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ハロルド・フライのまさかの旅立ち(2023年製作の映画)

3.5

クイーニーは助けなど求めていない風を装い、本心では強くハロルドを求めた。慎ましやかなクイーニーの、聞こえないくらいのSOSをハロルドはよくキャッチした。
妻のモーリーンがハロルド以上の敏感さで不穏な行
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情熱の王国(2021年製作の映画)

3.7

サウラの名作「カルメン」の路線を踏襲している。舞踏を中心とした一流の舞台芸術の凄さを世界に発信するものだ。
「カルメン」には強く感銘を受け、来日したガデスの舞踏団の公演にも行った。
ギターとハンドクラ
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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

4.0

出てくる高校生達は不遜なティーンエージャーとして描かれているはずだが、現代人の目で見れば、みな(古い人間の感覚で)常識的な良い子だ。
時代は70年代が始まる頃。しかし時代感を強く漂わせるような映画では
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ザ・ウォッチャーズ(2024年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

森の闇の怖さは実体験としてある。
この世ならざるものを見てしまうのではないかという恐怖。そう思う人の中ではこの世ならざるものの存在は確定している。
見てしまうことが怖いのだ。
恐怖はその人の中にある。
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朽ちないサクラ(2024年製作の映画)

3.6

原作(未読)の力が大きいのかもしれないが、引き込まれるストーリーだった。「市子」以来、杉咲花の出演映画には注目している。花という名前でいらっしゃるので、女優を花に例えたいところだが、生花である自分自身>>続きを読む

リンダとイリナ(2023年製作の映画)

3.8

須磨海岸のようにたいして綺麗には見えない浜で海水浴を楽しみ思い出作りをする。フランスの女子高生も日本と同じだな。などと感じ、こんなのを見せてくれるのは他にないなとしみじみ思う。

映画とは何か。一周回
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マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

4.4

ものすごい数の異形の車両たち、武器、戦法、コスチューム、人物。このスピンオフはタマ数が多く、ものすごく情報量が多い。マッドマックス図鑑があれば即買いするのだが。丹念に見ていくのは楽しかろうと思う。
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あんのこと(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

実話ベースの悲劇は、感想を言いにくい。
映画の骨組みはシンプルで奇をてらったところはなく、ストレートに感情に迫ってくる。
覚醒剤と売春で荒み切った生活から逃れることを決心しながら、果たすことが叶わず逝
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軽蔑 60周年4Kレストア版(1963年製作の映画)

3.5

壮大な痴話喧嘩のお話である。
犬も喰わない例えの如く、途中でえーかげんにせい!と言いたいほど、ループしている夫婦の問答に嫌気がさしてくる。ゴダールは嫉妬深い人だったのだろうなと、思った。
この映画はブ
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ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)

4.0

日常のことをしばし忘れて映画に身を委ねる。
匂いまで感じそうな亜熱帯の草木、虫の声、鳥の声。細くて長い尾をした犬。電撃で焼かれる哀れな虫たち。テレビの音、電灯の灯り、幽霊。
映画に没入するほどにサウナ
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若武者(2024年製作の映画)

3.4

本作を観客に届ける方法のアプローチについて、映画に何度も出てくる「革命」という言葉がピッタリくる。応援したいと思う。
だが、英治が面白半分に劇中で言うその言葉には魂が入っていない。蟹が吹く泡と同じで生
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オールド・フォックス 11歳の選択(2023年製作の映画)

4.2

解りやすさと格調のバランスが見事で深みがある。たいへん面白かった。
人生を勝ち負けで語る、ある老人の凄みと孤独。彼は不動産で財を築いた。情が移った店子の少年を、自分の後継者にするかのように勝ち組の生き
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からかい上手の高木さん(2024年製作の映画)

3.2

瀬戸内の情景にぴったりの牧歌的で、ぼんやりした映画だ。永野芽郁がキラキラとまぶしい。
原作尊重のためか、出そうで出ない今泉節が恋しい。
絵描きくんと指揮者さんが好印象で、映画を締めてくれた。
小学生の
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ドライブアウェイ・ドールズ(2023年製作の映画)

3.5

この映画の、秘めない過激さを受け入れられない人もいるだろう。男女が反転したとしたら正直、自分は見たくない。
一言で言うと、マッチョなクィア映画だ。
男の感性で表現されることの多かったお下劣な、さまざま
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かくしごと(2024年製作の映画)

3.6

いくつもの映画ができるほど、多くの人がこの型を好むようだ。母性愛は尊いものであり最強の、行動の動機としている。法と情けのせめぎ合いを躊躇いなく突破もする。
翻って母性愛を持てぬ、あるいは弱くしか持てぬ
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関心領域(2023年製作の映画)

4.0

ジェノサイドの例を引いてみると
2022年に発生したものを当面の最後とした長い長いリストが出てくる。
本作と賞レースで競っていたオッペンハイマー関連...
アメリカが行った広島、長崎への原爆投下。無差
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チャレンジャーズ(2023年製作の映画)

4.1

頭が興奮した最近の映画が「悪は存在しない」かコイツかというほど私には傑作だった。
「チャレンジャー」とは、プロテニス協会の下部ツアーの名称だ。あまり言うと作者の企む仕掛けが台無しになってしまうような気
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章(2024年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

日常風景に異様なものがすっと入り込んで溶け込んでいる様子が、私にとっては一番面白い。あんなになってもあの下にいる人達は逃げないんだ。

パラレルワールドが登場して、ストーリーを追う熱は冷めてしまうが、
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美しき仕事 4Kレストア版(1999年製作の映画)

4.4

フランスの知らなかった一面を知る。映画の場所がどこなのか。映像の異様な風景に惹かれてジブチという国のマップを見た。スエズ運河の真反対になる紅海の入り口。アフリカ大陸の東に位置する。ヨーロッパと中近東、>>続きを読む

わたくしどもは。(2023年製作の映画)

3.1

このような映画は嫌いではない。松田龍平はこの映画の雰囲気に合っているし、夜遊びのシーンなど意外性も感じた。
映画を見る前から佐渡はあの世と繋がっているイメージがあったが、絵の力だけでその神秘性が感じら
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正義の行方(2024年製作の映画)

4.4

編集がすごい。
これは見たほうがいい。
大方のフィクションが全く太刀打ちできない強靭な作品。