Lisa

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのLisaのレビュー・感想・評価

4.1
米国で旋風を起こしA24の映画で最高興行収入を記録した作品。
昨年から心待ちにしており、アカデミー賞7部門受賞が決まる前日にやっと鑑賞。

作品の大まかなテーマや見どころを理解した上で見ましたが、やはり盛りだくさんでした。
「なんでベーグルなの?」「なんでエルビスの格好してるの?」「指がソーセージであることに何か意味があるの?」など深く考えすぎると色々気を取られ木を見て森を見ず状態になりついていけなくなってしまうので、頭をまっさらにしてジェットコースターに乗る気分で鑑賞することをおすすめします。

作品の創意工夫やメッセージ性は勿論、Key Huy Quanが数十年ぶりに役者として復帰したという感動ストーリーや、"past their prime"と言われがちな年齢層のMichelle YeohやJamie Lee Curtisが脚光を浴びたという点においても話題性に富み、ショーレースの勢いそのままアカデミー賞を総なめにしたのも納得できます。
Stephanie HsuやJames Hongを含め、キャストの迫真の演技が何より見どころですが、中でもKey Huy Quanが最高でした。明るく物腰柔らかでありながら、alternate universeでは威厳ある実業家の顔も持ち、優しさを裏付ける静かな強さを秘めたキャラクターを見事に表現しており、Waymondを演じ切れるのは彼しかいないと思えるほどでした。

ユーモアやサブテキストが完全にアメリカンなので日本人には少し理解しづらいかもしれません。劇場も席がガラガラでした。
ただそのあたりの理解が多少あれば、独自性に富み、感情が揺さぶられるシーンが散りばめられ、何度も見返すことで奥深さが増すような作品として楽しめると思います。

“…In another life, I would have really liked just doing laundry and taxes with you.”

The Danielsの今後の作品がとても楽しみです。
Lisa

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