Lisa

君たちはどう生きるかのLisaのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.9
総括すると全然理解できた気はしないけど、アートとして楽しめるような独特な世界観と画の美しさと、なんといってもぶっとんだストーリーに引き込まれ、満足できました。
事前にレビューを見て、よくわからないものなのだという前提で鑑賞したのが正解だったと思います。
これすぐにわかる人すごいな...逆にわかるとか正解とかあるのかな?各人の解釈で良い気がします。
とはいえ監督自身が個別のシーンに込めた意味や伝えたかったメッセージはすごく気になります。

鑑賞直後の感想としては、人生に関する様々な考察が色んな場面に散りばめられているような気がしました。

母親の子供への愛。実の母親とそうでない母親の愛。
母親以外にも、おばあさんたちや友達など、人はいろんな人に愛され守られ育っている。
人は人間である以上悪意を捨てることはできず、その存在を認識しともに生きていく。
皆懸命に生きようとしている中で、そもそも白黒はっきりとした善悪などない。
インコに表れているように、環境など様々な要因が揃い、悪意のみで行動すれば、自滅の末路を辿り得る。
自分が理想とする世界を実現しようとしても、その均衡をすべて一人でつかさどることはできない。
結局どう生きるか、どのような世界にしていくかは、一人ひとりの選択にかかっている。
様々な条件が重なり合いこの世にもたらされた、自分の命という奇跡。
死んでも魂がふと消えるわけではなく、この奇跡と選択の連鎖が続いていく。

エンタメ性のあるかつてのジブリ作品の概念は捨て、どちらかというと抽象画を見に行くような気持ちで見ることをおすすめします。
あまり考えがまとまらないけど、なんだか別世界に誘われたような不思議な感覚になる作品でした。

(少し時間を空けて追記)
やっぱりストーリー自体は色んな解釈がありそうだけど…
一般ウケしない作品であることを承知で思い思いに作り上げ世に出したこと。
クリエイティビティの爆発みたいな作品だけど、それを監督の過去の実績によって一般の人が広く鑑賞できていること。
宣伝なしで、先入観なしで問いをぶつけられていること。
これらの事実そのものが、どう生きるかという問いに対する監督自身の答え(選択)の表出なのかもしれない。
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