Lisa

バービーのLisaのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
3.7
そもそもリカちゃん人形よりもシルバニアファミリー派だったのでバービー自体に愛着がある訳ではないですが、幼少期を米国で過ごしたため身近な存在ではありました。
人形よりもブランドとしての存在感がすごくて、当時現地校に通っていると必ずバービーのロゴ入ったリュック背負っている子がいたなぁ...とか。
バービーのTシャツ着てる子もいたなぁ...とか。
そういえば対抗馬でBratzもあったなぁ...あれのどこが良かったんだろう…とか。
そんなことを思い出しながら鑑賞しました。

女性監督として公開後4週目にして興行収入$1bn超えという快挙を成し遂げたGreta Gerwig。主役のみならず制作陣としても絡むMargot Robbie。年取りすぎではというエイジズムを跳ね除けたRyan Gosling。
時代遅れなバービーのブランドを再起させたいマテル社とフランチャイズものには目がない大手スタジオの後ろ盾がついたビッグ・バジェットフィルムに伴うコマーシャリズムと、オリジナルの脚本により前面に出したフェミニズムやエンパワーメントといったリベラル・アジェンダが共存する、ある意味大きな矛盾を孕む作品ではあります。
上手くバランスさせようと試行錯誤した様子が何となく伝わってきてました。

個人的に驚きだったのは、ケンの存在感。
内なる葛藤、目覚め、反抗、改心とわかりやすい軌道を辿るためか、結局バービーよりもニュアンスのあるキャラクターに仕上がっている気がしました。
Kate McKinnonはSNLでも大好きで、今回の役もしっかりはまっていてさすがという印象。
Will Ferrellの安定感もさすが。
Emma Mackeyは思っていたより台詞が少なく、大物に囲まれて圧倒されている感がありました。
Simu Liuも割と型にはまった感じ。

Mansplainingやwhite saviorといった概念が出てくるのに加え、全体的にユーモアがアメリカンなので日本人に刺さるかは微妙ですが、セットデザインや世界観に徹している作品として見応えはあります。
くすっと笑えて明るい気持ちになれる作品ですが、個人的には予告編を超えてくるような要素がもう少し欲しかったです。
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