Jordan Peeleによる最新作。予告編から空飛ぶ謎の物体の不気味さと作品が醸し出す世界観に惹かれ、劇場で鑑賞。
同監督によるGet OutやUsのような比較的テンポ良くストーリーが進む感じを期待していると、本作は何となくじわじわ迫ってくる感じ且つ「え、ここで終わり？」というエンディングのため、物足りなさを感じるかもしれません。
私も最初はそうでしたが、暫く時間が経ってから振り返ると静かな恐怖に包まれたシーンが脳裏に焼き付いており、コメディ要素を敢えて抑えホラー自体の磨き込みに徹底した、監督としての成熟度が表れている素晴らしい作品だと思いました。
配役も素晴らしく、主演のDaniel Kaluuya（いつも思うのですが、英国訛りを一切感じさせず、アフリカ系アメリカ人の話し方を完全にマスターしていて凄すぎる...）がGet Outの時とは違う寡黙で冷静な兄役を完璧に演じています。
役柄もあるとは思いますが、本作ではその妹役であるKeke Palmerが一番光っており、時には兄の足を引っ張るおちゃらけたユーモア・居たたまれない恐怖心・その恐怖心を我慢して無理して行動する姿等、振れ幅の広すぎる感情を力強く演じており、グイグイ引き込まれます。
The Walking DeadでおなじみのSteven Yeunも登場しますが、元々の謎めいた雰囲気がマッチしており、作品全体のトーンセッティングにおいて重要な役柄を見事に演じています。
得体の知れないものに対する誤った全能感と一攫千金への期待、本能に従って逃げるのでなく欲を優先するということがどのような代償を伴うのかが独特の世界観で語られています。
何となく腑に落ちない点もなくはないですが、それを踏まえても良かったと思えるような、見応えのある作品です。
