冒頭の解説文と飛び立つシーン、教官と生徒の出会い方といい、これでもかというくらい前作のファンの心を掴む工夫に満ちた作品。
その分ベタなシーンが8割ですが、開き直ってベタを目指してベタになっている感じがしました。
鑑賞した上で、制作側の意図含め個人的に感じたテーマは3つ：
1. 年を重ねたTom Cruiseを、ピチピチの20代だった前作と比べて見劣りしないどころかむしろ上回るくらいカッコよく演出できるか
2. 前作のストーリーやキャストを程よく踏襲しつつ、新鮮味があり時宜にかなった作品に仕上げられるか
3. 最先端の戦闘機や撮影技術を用いて、鑑賞側の期待値を遥かに超えるような映像体験を提供できるか
1.に関しては一定程度成功していると思いました。
「世俗的な評価基準を追い求めず自分の才能ややりたいことと実直に向き合い、圧倒的実績に裏打ちされた天才的実力の持ち主」という立場に変わっており、フィジカルな魅力は劣っていてもその次元の違うポジショニングによりカッコよさが担保されています。
プロモの意図通りではありますが、彼自身が他の若手俳優陣のトレーニング・メニューの組み立てに関与したというのもプラス。
一方で、個人的には20代のTomは中々超えられない気がしました。
2.に関しては少し力不足な印象でした。
Val Kilmerは本人自身が実際にガンを患い声が出せなくなっている中、AIを駆使して声を再構築したことで作品中のやり取りを実現したというinspirationalなエピソードはあるものの、前作からのメインキャストは彼とTom Cruiseのみとなっています。
一方でRooster役のMiles Tellerと前作のGoose役のAnthony Edwardsの顔（の下半分）が似すぎていてすごい。Hangman役のGlen Powellがザ・白人・主役顔ということで元々Rooster役候補だったそうだが、賢明な配役だったと思います。
女性役についてはdiversityを意識し「女性パイロット役を追加したからいいでしょ」と片付けたイメージ。物語のキーとなる場面に全く関わらない登場人物に留まっておりとても残念。
Jennifer Connellyはかなりの実力派で直近でもSnowpiercerで素晴らしい演技を見せているのに、Tom Cruiseのarm candyで終わっていて非常に残念。
前作の世界観もあるので仕方がない気はするものの、物足りなさは否めませんでした。
3.は十分に実現できているものの、巨額の税金が関わる機材を撮影に使用したということで、一部バッシングを受けているのは留意すべき点。
その代わり実際にＧを感じている映像を使っており、非常にリアルな描写となっています。
前作のファンが湧く中で、作品として気になる点がいくつかあり、レーティングは可もなく不可もない3.5。
"I Ain't Worried"は気に入ったので今後聴こうと思います。
