このレビューはネタバレを含みます
警察官を殺害した罪で20年間服役し出所した女性が、社会復帰において様々な不条理に直面しつつ、生き別れとなった年の離れた妹との再会を求め動き出すというストーリー。
主演 (Ruth役) のSandra Bullockの演技が素晴らしく、立ち振る舞いと表情からとてつもない苦労と憂いが感じられます。
特に妹との別れの回想シーンは涙なしには見られません。
少し前まではコメディの印象が強めでしたが、Gravityを筆頭に役の幅が広がっている感じがします。
今回はスクリーンタイムも9割くらい占めており、ほぼ一人で作品を背負っている中でのこのクオリティは流石という感じ。
一方で物語自体は正義と悪の2軸を捨てきれないアメリカンな美徳に囚われている印象した。
そもそも警察官を撃ったのがRuthでなく妹である必要があったのか。
それが物語の大きな転機になっているのもわかりますが、もしRuthが撃っていたのなら助けに値しない人物になるのかと思ってしまいます。
妹との暮らしを守る為に取ってしまった咄嗟の行動というだけでもストーリー上は成り立ったと思いますし、出所者の社会復帰の困難に焦点を当てるのだとしたら、その方がより題材に忠実ではないか思いました。
"Cop Killer"であることが殺人の中でも如何に罪が重いかが作品でも強調されており、そのような社会的コンテクストにおいては叩かれる要因になってしまうのかもしれませんが、もう少しやりようがあった気がしました。
またピアノがRuthと妹を結ぶ伏線になっていますが、物語とクラシック音楽の組み合わせが若干不自然で、少し無理やりな感じも否めませんでした。
個人的にはストーリーは今ひとつでしたが、Sandra Bullockの演技だけでも観る価値のある作品だと思います。
