ユーモアと残酷さの両極端が違和感なく共存する不思議な作品。
同じ風景が続く架空のイニシェリン島を舞台に、しょうもないいざこざが取返しのつかない状況に発展していく様子を追っていきます。
Three Billboardsとは謎を残すエンディングは似ているものの、本作の方がドラマが少なく会話を中心にストーリーが進んでいきます。
どう受け止めれば良いのかわからず、世に出ている解説文も割と漠然としており、結局は鑑賞した人が自分なりに解釈して消化する必要のある作品なのだと理解しました。
「善良な人」「ひねくれた人」といったアイデンティティがいかに脆いものであるか。人間関係とは突然の変化によって崩れていく不安定なものであり、予想できないところまで波及するというメッセージが込められているような気がします。
Barry KeoghanとKerry Condonが主演の2人に引けを取らない素晴らしい演技でおすすめです。
