ヒムロ

ザ・クリエイター/創造者のヒムロのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
3.1
AIが核を爆発させ、人間と自我を持ったAI達が争い合う時代。
AIを排除しようとするアメリカ諸国と、AIを受け入れて共存するニューアジアは対立が広がっていた。
自身の潜入捜査の巻き添えで妻のマヤを失ったジョシュアは群を離れていたが、軍の上官ハウエルが持ってきた映像には亡くなったはずのマヤが写っていた。
AIの開発者ニルマータが作り出した新兵器を破壊するためのミッションに参加したジョシュアが見つけた新兵器は自我を持ったAIの子供だった。



なんというか…予算はかかってて非常に映像的には出来がいいんだがストーリー自体はなんかどっかで見たことある話のツギハギみたいというか、真新しさがない話だった。
いや王道が嫌いな訳じゃないんだが…かなり宣伝の感じとかAIとの戦争という設定とか近未来の映画!みたいな感じだったので話が普通すぎて拍子抜け。

子供という見た目も相まってジョシュアが段々とAI側に肩入れしていって最終的に人間と戦うんやろなぁと思ってたらまぁその通り。
しかし最終的にアルフィーに対して命令口調で指示を出すジョシュアがなんだか違和感…。
吹き替えの裁量なのかもしれないが、これでは父親というより軍人にしか感じられない。
自爆ロボットに命令して走らせてるのとそう変わりなく感じる。

AI側も自我を得るぐらい賢いAIなのに普通に人間にしか見えないぐらいに弱いのが気になる。
100歩譲ってこっちの機械をハッキングしたりして襲ってこられたら強すぎるので設定的にセキュリティで無理なのは仕方ないが、普通に銃撃がガバガバすぎる。
機械が撃ってるとは思えないぐらい普通以下の射撃で萎える。

褒めるところはほとんど映像美だろうか。
街中や軍施設などの近未来感は素敵。
AI達の造形や、後頭部のみ機械の見た目も素晴らしいCG。
反面、ニューアジアに住んでるAIということで意外と普通に田舎の村っぽい感じで過ごしているのは全然未来感がない。
インチキサイバーニッポンみたいな感じで東南アジアは木と泥とトタンで作った川の近くの村って感じの偏見なのだろうか。
単に破壊するためのセットとしての予算削減にしか感じられない。

130分越えですごい予算をかけてやるほどの映画ではないように感じた。
「単純にエンタメ映画としても消費できるがメッセージ性の深い作品」みたいなものを目指して失敗した結果、全方向に中途半端になったような印象を受けた。
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