ヒムロ

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのヒムロのレビュー・感想・評価

4.8
僕はマイルス・モラレス。
放射性のクモに噛まれた、ブルックリンでたった一人のスパイダーマン…この次元では。

粒子加速器を止め、元の次元に戻ったスパイダーマン達。
スパイダー・グウェンことグウェン・ステイシーは博物館でコミックの世界から出て来た様なバルチャーと出会う。
別次元から現れたと思われる敵と戦う最中、なんと別次元のスパイダーマン達も現れる。
加速器を破壊してスパイダーバースは救われたのではなかったのか。
次元が再び繋がり、マイルスとグウェンの物語もまた繋がっていく…。



スパイダーバースシリーズは全3部作ということだが、本作はどちらかといえば単体の映画というか前編という感じの雰囲気だった。
2時間半長いなぁと思っていたがまさか話にオチが付かず続くオチとは思わなかった。
だからと言って本作が微妙かと言われると全くそんなことはない。
むしろその逆でハードルの上がる傑作の続編、かつちゃんと話も終わってないのに面白すぎる。
最後は何も解決してないのに号泣してしまった。


アニメーション作品が故に表現豊かな所はそのままに、実写では厳しい大量のスパイダーマン達の戦闘シーンや架空の世界の巨大都市など見応えのある絵がパワーアップ。
アクションシーンは息もつかせぬスピードと見やすさが両立されていてこの辺りもアニメーションのスピード感あってこそ。
アート的な美しさを両立しているのでストーリーシーンになったからといってダレないのも素晴らしい。

主な新キャラであるミゲルとオハラはいい感じにマイルスとグウェンに対するカウンターとしてキャラが立っていてスッキリした構成。
マルチバースだからといって主要なキャラを増やしすぎない、もしくは途中で一時的に減らすという勇気ある決断が見やすさに貢献している。

一応敵っぽいポジションに収まる別次元のスパイダーマンにも感情移入がすごく出来るのがスパイダーバースというコンテンツならでは。
「スパイダーマンとして大切な人を失った」という過去はスパイダーマンファンなら苦しいほどマルチバースで味わって来ている。

ピーターではない者たちが主役を務める本作、その意味があるストーリーには感服。
完結編にも期待したい。

余談だが、前作は多少スパイダーマンに関して知識があれば楽しめるレベルだったが、今作はやや履修前提が多めに感じた。(アメコミ後進国だからかもしれないが)

とはいえ実写映画シリーズからの小ネタなども出てくるのでこの機会に映画だけでも全シリーズを観てから観ることをオススメしたい。
ヒムロ

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