クロフネ

華麗なる一族のクロフネのレビュー・感想・評価

華麗なる一族(1974年製作の映画)
3.2
ファスト映画でも見ているのではないかと錯覚してしまうほど、物語の奔流に飲まれる3時間30分。万俵大介を演じる佐分利信を筆頭に、多彩な登場人物すべてに主役を張るに十分な昭和の名優が揃い、それぞれがケレン味に溢れた芝居を見せる。
そして数え切れないほどのエピソードを順を追って着実に消化していく手腕は、さすが大作監督・山本薩夫といったところか。また、ところどころ挟まれる気の利いたユーモアがよいアクセントとなり、万俵の妻・寧子(月丘夢路)の打つ鼓が相子(京マチ子)への皮肉として聞こえるくだりなどはヘタなコメディーよりも笑えてしまうのだ。
企業の論理や政治の腐敗ぶり、はては「血は水よりも濃い」に至るまで、この作品のテーマとするところは、製作から50年を経た現在も、変わることなくわれわれに訴えかける。
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