ヒムロ

エイリアン2のヒムロのレビュー・感想・評価

エイリアン2(1986年製作の映画)
4.6
エイリアンの襲撃から一人逃れ、宇宙をコールドスリープ状態で漂っていたリプリーは偶然、人類に発見され帰還を果たす。
しかし目覚めてみると57年もの年月が経っており、当時11歳だった娘の他界、そしてあのエイリアンを見つけた星に人が住んでいる事を知る。
エイリアンの危険性を説くリプリーを信用しない審問会は、ノストロモ号の爆破の責任をリプリーの精神異常と決めつけ航海士の資格を取り消す。
しかしほどなくして件の星からの連絡が途絶え、リプリーはアドバイザーとして再びあの星、そしてエイリアンと関わることになる。


前作も思ったが、前作以上にCGを使わずに撮っているのが信じられない。
どういう技術でどういうセットで作っているのかがめちゃくちゃ気になってしまう。

前作は1体程度だったゼノモーフだが、今作はバーゲンセールの如く出てくる。
銃火器で武装している海兵隊員と釣り合いを取るためなんだろうが、見てるこっちからするとどんだけ銃火器があっても勝てるなんて思えない。
その上、絶望だけが増えていく展開がどんどん押し寄せてくるので情緒が急降下しまくり。
リプリーと同じぐらい「助かった…」というところからどん底に落とされる気持ちを味わえる。

前作では丸腰で絶望して喧嘩していたが、訓練した武器を持った海兵隊がボロ負けするからこそ、同じようにパニクって揉めても見応えがあった。
しかしこの時代から女性がめちゃくちゃ活躍する映画なのは斬新な脚本だと思う。

あまりにも勇敢すぎるリプリーが海兵隊そっちのけで突き進むのはめちゃくちゃな気もするが、主人公の素質がある人間だし、そこは母は強しってことで。


本作ではクイーンを始め、エイリアンの巣のおぞましい風景や凶暴さを増した演出が増えていてヤバいぐらい震える。
あまりの強さと強さとその造形に、やっぱり恐怖と同時に畏敬の念を覚える。
熊や自然を神として祀り上げる昔の人間のように絶対的な敗北を感じざるを得ないゼノモーフはやはり完璧な生命体。

ストーリー面では娘を失ったリプリーというところが縦軸なんだろうが、娘の事を知らないし(僕はゲームでめちゃくちゃ知ってはいるが映画だけで考えると)ちょっと感情移入するには弱かったかも。
代わりに前作では悪役的な立ち回りだったシンセティックを再び味方メンバーに入れて、不安を煽るのは見事。
ラストの結末までビショップの縦軸のが見応えがある。
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