Junichi

戦場のメリークリスマスのJunichiのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
5.0
I'll be back before flower is again. Promise my heart.

【撮影】10
【演出】10
【脚本】10
【音楽】10+
【思想】10+

相手の尊厳をいかに尊重できるのか
ましてや戦争という極限状況で
目の前の人が敵であったときに?

それはやはり愛なのでしょう

愛は言葉にしなければ
相手に伝わらないものなのでしょうか?

愛が魂と魂の邂逅であるならば
必ずしも言葉によらずとも
相手への振る舞いによって確実に伝わります

ヨノイ大尉とジャック・セリアズの愛
ジャック・セリアズと彼の弟の愛
彼らの振る舞いはとても不器用ですが
その愛は確実に相手に届いています

ヨノイ大尉がジャック・セリアズの臨終をみとり
形見に髪の毛を切り取り
ジャック・セリアズに敬礼する場面
言葉は一言もありませんが
観客に伝わるものは
愛以外にありません

大島渚監督は
戦争という極限状態で
とりわけ捕虜収容所における
支配者と被支配者の関係において
愛の普遍性を描きます

世の中のあらゆる分断、対立、格差、差別を解消するもの
それこそが愛であるという
大島監督のシンプルで強烈なメッセージです

現在進行形で戦争を見聞きする現在
「勝利がつらく思われるときもあります」
というローレンスの最後の言葉には
戦争はただ犠牲者しか生まないことを
改めて思い知らされます

今回改めて観直して
傑作だと思いました
坂本龍一氏の音楽を含め
未見の方は是非ご覧になってください
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