Junichi

ペパーミント・キャンディーのJunichiのレビュー・感想・評価

4.0
人生は素晴らしい

【撮影】9
【演出】8
【脚本】7
【音楽】9
【思想】7

文学者でもあるイ・チャンドン監督作品

『Oasis』
『シークレット・サンシャイン』
『ポエトリー』
を先に観ていてからの
『ペパーミント・キャンディ』

『Oasis』の
ムン・ソリとソル・ギョングが
本作品でも主演
素晴らしい演技をします

『ペパーミント・キャンディ』は
イ・チャンドン監督の人生が映されたような
作家性の強い作品という印象を受けました

映画は走馬燈のように人生を蘇らせ
最後に
主人公が最も大切にしていた想い出を美しく描きます

光州事件でのとある出来事が
その後の主人公の生き方に
大きな影を落とします

「その選択をするのか?」と
主人公の選択がことごとく自分を苦しめます

自責感なのか
不幸になりたいという病なのか
PTSD(心的外傷後ストレス障害)なのか

日本でも軍拡が叫ばれる昨今てすが
もし軍拡すれば
日本にも
この主人公のような人を確実に増やすでしょう

とにかく苦しむ作品
苦しむことがまるで救済であるかのように

賢い人であれば
「そんな選択をしなければよいのに。自分を苦しめているのは自分だよね。アホか。」と言う感想を持つでしょう

主人公はそれが十分に理解できていて
それでもその選択しかできないので苦しむのです

本作品で唯一の救いがあるとしたら
冒頭のキャンプ
眼鏡の男性

主人公が大声で歌い出したら
カラオケでその曲を流してあげる

主人公が陸橋に登ったら
本気で心配し近づいていき
(他の人は誰も近づきません)
おそらく何かがあったのだろうと心配し涙する

しかし主人公には
自分に寄り添ってくれる人が見えません

観る人を選ぶ作品です
それが希望であったことに絶望するような
そんな作品です
しかし
人間のそうした真実に触れたい人にはオススメします
Junichi

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