小津の影響を多分に受けていることがありありと伝わっている。ほぼ全てフィックス画は当たり前と言わんばかり。手持ちカットは一切なく、切り替えしたとしても第3第4とカットを広げていかない。
撮り方も役者の演出も上手いのだが、本当に良いのは緩急だと思った。欲を言えばコロンバスという街そのもののコミュニティやローカリズムのようなものをもっと生々しく撮って欲しかった。コゴナダの品格のようなものが主人公の女性の純粋さのようなものを際立たせているのだが、同時に「街の人生」をどう描きうるか。もっと深められなかっただろうか。簡単な方法は、街の人々をもっと撮るということだろう。
