ダイアン

行き止まりの世界に生まれてのダイアンのレビュー・感想・評価

4.0
過ごしてきた時間の積み重ねに勝るドキュメンタリーはないと思う。友人同士が一緒の時間を過ごし、成長し、ときにぶつかり、そして共に街をスケートで駆け抜ける。
「当たり前に奇跡的な今」が詰まっていた。僕はそんなドキュメンタリー作品が大好きだ。

またカメラを手にするのが、ドキュメンタリー監督としてではなく、普通の友人としての接し方、眼差しがとても心地良い。目の前で起きている悲しみや苦しみは赤の他人の声なき声ではなく、唯一無二の親友たちであり、それは自分自身でもある。
自分のアイデンティティそのものをさらけ出してきた人たちだからこその距離感。そのカメラに力強さはない。あるのはあまりに素直な眼差しだ。その素直さにとてつもなく惹きつけられる。

スケートのカットがとにかく良い。あらゆる現実から解放されるように、ふわりふわりと空に浮かぶ雲に乗るように、町を駆け抜ける風のように、自由に乗りこなす。メーヴェに乗るナウシカのよう。技術的に優れているかはわからないが、そこにはスタイルやテクニックを越えた絶対安全な瞬間のようなものを感じる。
美しき聖域かはわからない。道端の薄汚れた、ボロボロだけど、それでも彼らには唯一無二の聖域なのだ。
ダイアン

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