ダイアン

少女邂逅のダイアンのレビュー・感想・評価

少女邂逅(2017年製作の映画)
2.5
脚本がよく、蚕のモチーフと少女のつながり(途切れ)がよくリンクしている。カメラがうまい。映像の撮り方が明確だから編集にもテンポが出ている。主人公の友人(いじめっ子)のキャラクターが弱いのが少し戸惑う。先生や親、近所の関係性などでもっと多重構造に追い込んでいったほうがよかったのでは。
一方で演出はうまい。特に周辺の友人たちなどはよく演じられているし、動きにも一貫して自然な記憶のなかにあるような感覚を得られる。なぜか、彼ら彼女らはキャラクターとして意味がない(役割を負わされていない)から。役割を負った主人公ほど難解になる。ある程度は仕方がないが、本当はつながっていたままのほうがいい。
田舎の思春期モチーフは何度も映画化されてきたが、一貫してポイントになるのは「出口のなさと解放の光」。絶対的な閉鎖したムラを描きながら、主人公はその外に広がる何かに導かれて世界の調べを知り、あるいは関係性が途切れて絶望する。あえてこのモチーフに入っていこうと思ったのはなぜか。
主人公が邂逅したのは痛み。あるいは生の実感。血の滴る感触。強くなるということ。代償に失った親友の存在はまるで霧のように霧消していく。復讐や無念にならない。刹那的。ただその時間を生きている。今の若い人が生きるという感覚にきっと近しい。
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