ダイアン

ROMA/ローマのダイアンのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.0
だれか、アルフォンソキュアロンのことを嫌いにさせてください。と言いたくなるくらい、物凄い作品。
自分にとって好きな映画はどんな要素があるかと考える。「複雑な世界とそこで生きる個人への眼差し」「芸術表現でありながら商業性を捨てない」「長回しなどカットワークの妙」「フィクション/ノンフィクションの境界が揺らぐ」「私的表現」などが思いついたが、キュアロンはいつもその全てを満たしてくれる。

今回で言えば、誰の目にも明らかだろうが水平方向へのカメラワークが抜群にいい。カメラは主人公の心情変化や現場の動きを捉えるのではなく、世界をただ外から見つめるにすぎない。はじめは味けなかったり、もっと動きたくなるワークをかんがえさせられたりするだが、みるみると「神の目」になってくる。モノクロであることも相まって、どこか絵画か神話世界のような錯覚すらある。

カメラと三脚さえあれば誰でも可能な横の動きをここまで昇華し、物語の見せ方を提示した映画を他に知らない。「トゥモローワールド」も「グラビティ」もデジタル撮影と編集技術の極みだったが、今回はもっとシンプルに撮ってそう。

これを脚本から撮影編集まで自ら行い、netflix初のベネチア金獅子賞。どこまで行くんだこの人は。そしてメキシコ映画界の勢いも止まらない。
ダイアン

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