ダイアン

ジャンゴ 繋がれざる者のダイアンのレビュー・感想・評価

ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)
4.0
「ワンスアポンアタイムインアメリカ」もそうだったがタランティーノの演出は本当に時間の長さを感じさせない。いらねーなこの演出とか、いらねーなこのシーンも、一切ない。それは多分、シーンを積み上げて最後に向かう映画の到達点に変な正義感を忍び込ませるようなメッセージが皆無だからなんだと思う。タランティーノのメッセージがもしなにかあるとすれば「ちょーかっこよくてやばいでしょ!そらみろやっぱり映画は最高だ!」じゃないだろうか。「カメラのレンズは社会を見る目であり目の前にいる個人に謙虚に節度を持って向き合わないといけない」と語る是枝さんと真逆だ。
今回の映画だって、俺がダイナマイトで吹き飛んじゃうとかいいよねやろうぜヒャッホー!みたいなノリがモロに出てきて笑った(もちろん、言うは易く行うは難しなので、これを見事に作っているタランティーノの技量がおろそしいのだけども)。

毎回彼の映画には「別に意味なんかないし、ダメなやつはダメでしかないし、そういうヤツが騒いでいるもんじゃないの世の中って?」という含みを感じる。ダメなやつを絶対に上から目線で救ったりしない。そこにあるのは登場人物と映画に対する愛そのものだ。物凄くプリミティブな愛。ラブアクチュアリーとかには絶対に描けない、深い愛。その愛にしばし浸かっていられるから時間の長さも忘れるし、愛の意味とは?なんて野暮な質問が来ないことに安心しきっているから、それはある種の夢のような世界なのだ。タランティーノは映画の夢の国だ。ディズニーやユニバーサルに全然ついていけない全てのダメな連中に送る、映画の愛の世界。
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