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歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡のpurigoroのレビュー・感想・評価

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●映画の中で出てきた話で気になった言葉のメモ。

・アボリジニの「ソングライン」
・歌が土地を覆っている。
・土地と共に歌がある。
・歌と土地は卵と鶏のような関係。(どっちが先でどっちが後か。)

・歌で土地を進んできた。次の世代が新しい歌を作り出し、新しい土地に進む。

・車で案内したときに、歌の速度も速くなった。→歌が道標になっている。

・部族の長老が歌を忘れたら世界のバランスが崩れる。(→感想:奄美の島唄と同じ。歌が生活を担っている。)
・世界中の部族の歌が消えたら地球は破滅する。
・歌が地球を守っている。

・ある人が歩いて人生を進めて、その次の世代に移る。またその人が時を進めて次の世代に移り変わる。時にはその人の人生が短い人もいる。歩みが速くない人もいる。だけど、次の世代に続き、次の世代が死んだら、それで終わり。その先には何もない。それだけ。

・歌に全てが詰まっている。梵書のようなもの。他の人には伝えてはいけないものもある。

・(我々は)歌と共に死に場所に帰る。

・歩く人にだけ地球は真実を見せる。
「世界は徒歩で旅する人にその姿を見せるのだ」
(→感想:ラストシーンの言葉。一番印象に残った言葉。だから私は歩くのが好きなんだ、と痛切に感じた。物凄く腑に落ちた。様々な土地で、記録には残らないその瞬間瞬間の「真実」に出会えた気がするから。)

●以下、感想。
・人類と大地について
「土地」と「人間」との関係性が物凄く面白い。私は人間の営みやその根源について考える時、必ず「大地(土地)」との関係を考える。人類の歴史は、大地の歴史といっても過言ではない。
人間と、大地との関係はその土地土地で多少の違いはあるだろうが、このアボリジニの例が、それを象徴しているだろう。

人間には、大地との繋がりが必要だと考える。いつか何かで読んだことがある記事によると、高層マンションに生まれてからずっと住んでいる子供は、土地との距離感が上手く掴めないのだとか。つまり、高いところから落ちたらどうなるかとか、今いる階からどれくらい距離があるのかとか、把握しづらいという。だから昔より圧倒的に、転落事故なども増えているらしい。「高いところから身を乗り出したら危険だ」という本能的な危機察知能力が欠落しているのだという。ハイハイで移動する場所から常に見える景色が、5階、8階、10階であれば、確かにそうだろう。

月に行ったり、宇宙開発が進んだり、今度は火星を目指したりと、人間は飛行機で空を飛んで以降、常に大地からいかに離れるか、大地からいかに高く飛び立つかに挑戦している。

大地は生命である。人類に限らず、生命が生まれ、育ち、実っていく場所。大地から離れれば離れるほど、人間は人間らしさを失っていくのかもしれない。
空は大地の正反対のものなので、人間が空に憧れる理由も分からなくはないが。

・その他感想
定住以前の人間の生活や営みについて、以前観たドキュメンタリー映画「森のムラブリ」との共通点があると感じた。
ペインティング(洞窟、民族)にも繋がる原始的な思想。

磁力の話のところで「力を感じる?」を「Do you feel Force?」と言っていて、「フォースって言うんだ!」と思った。(スターウォーズみを感じる。)
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