いけ

少女☆歌劇 レヴュースタァライトのいけのレビュー・感想・評価

3.5
ラブライブ的な青春アイドル成長物語的なものを期待して観たら、似て非なるものだった。
(ラブライブも素晴らしいけど、その素晴らしさとは、少し違う素晴らしさ)

素晴らしいのは、生々しいほどのリアルな登場人物たちの感情。
キーパーソンである大場ななをはじめ、それぞれのキャラクターにちゃんとエゴがあって、下心があるのが、とてもいい。
でも、そういったエゴや下心があるからこそ、舞台への熱量が増す訳で、爽やかなんだけど、ちゃんと裏にはそれぞれの事情を抱えているというのが、このアニメへの信頼感に繋がった。

そして、作中に観客の姿が描かれることはほぼなく、キャラクターたちも観客にどう思われるのかを気にする描写がほぼないのも、特徴的だなぁと思った。
あくまでスタァになることに切磋琢磨しているのみ。
ただこれは実は意図的にやっているようにも思えて、この作品の観客は作中の中にいるのではなく、画面の向こうで見ている視聴者な訳であって。
アニメの中で観客を描いたり、登場人物が観客を気にすることは、視聴者を操作する事だったり、媚びを売る事だったりして、それを製作者側が避けたのかなあと。
この作品をどう受け取るかは観客に委ねるという姿勢の現れのように感じた。

ハマらなかった所として、セリフが抽象的で、分かるような分からないような感覚が全体的に拭えなかったこと。

良かった所を最後に付け足すなら、本作のオープニングであり、実質上のエンディングテーマでもある「星のダイアローグ」がめちゃくちゃいい曲なとこ。
オープニング曲っぽいのに、ちゃんと物語を総括する内容で、エンディングテーマにもなりえている。
この曲を聴くと物語がこれから始まっていくようにも感じるし、それぞれのキャラクターの葛藤を包括して、物語に締まりを効かせてくれる曲にも感じる。
いけ

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