春イコ

少女終末旅行の春イコのレビュー・感想・評価

少女終末旅行(2017年製作のアニメ)
5.0
何もかもが大好きな作品。一生抱えていたいものに出会った。

アニメは原作の途中で終わっているのが残念に思うくらい、映像化で化ける作品。いつか劇場版などで最後まで描かれて欲しい……。
アニメはとにかく音が綺麗。物が少なくなった寂しげな空気感を繊細に感じられる臨場感があり、こだわりを感じた。アニメにしかないキャラの仕草もあるし、何度も登場する挿入歌も本編通して作品の魅力を増している。
原作漫画で終末世界、日常、宗教、哲学を見事にマッチさせた原作のつくみずさんがすごい。細部を削ぎ落としたような素朴な絵柄が世界観に合っているし、一コマ一コマの構図に見入る。キャラの丸顔に癒される。メインの二人だけの登場人物の会話劇が巧み。

終わりゆく世界の中で極端に悲観することなく、冷静で心配性で慎重な理性のチトと、行動派で時に本質を突く言葉を言うユーリが良いバランスでゆるゆると生きる姿を「旅行」と称しているのがとても良い。原作のラストは安らかな気持ちになれた。あんな風に穏やかに迎えられることをどこかで望んでいるのだと思う。
春イコ

春イコ