理不尽な絶望の中で、それぞれが闘う理由を見つけていくことが美しかった。
死を前提とした状況において、人は愛に目覚めたり、知を大切にしたり、大切なものに気づいたり、利他に気づいたりもする。
彼彼女らは現実に絶望しながらも同時に、そこでしか得られない気づきを得ていた。
最後をどう締めくくるか。何を継承するか。何を守るか。
人それぞれだけど、人間の可能性を感じられる作品でもあった。
特に好きな宇城の父のセリフ。
「学校を建てるには金が要る。
競争に勝った人間や、政治家の力を借りる必要があった。
仲間に手をかけたこともあった。
理想が衝突したこともあった。
だけど、お前は必ず勝ってこい」
しびれた。フリースクールで競争のない社会を作ろうとしている人でさえ、
勝ってこいと、何かを守るためにはやはり何かと戦って、自分の意見を貫くことも必要なんだと。人間の美しさと誠意とうしろめたさが入り混じった信念だと思った。