もともとこういう〝どれが現実か〟的な結末は好きじゃない。あとでそれを示唆すればいくらでもどんな展開でも許されてしまうし、それまでの物語の制約も無視できる。それでいて、簡単に深みがあるかのように見せかける事ができるわけで。これをやられても作り手としてあんまり凄いと思えない。
そんな個人的な好悪をべつにしても、これは無し、だと思う。ただでさえわかりづらい設定なのに、本作にいたっては個人個人が現実世界とはべつの理想世界を持つという混沌具合。
これじゃ終盤の展開が誰視線のダブルシンクなのかさえ判然としない。ヒントもないか、ほとんどないようなもの。正直言ってそこまで錬られているとも思えない。ただただ視聴者にとって衝撃的なシーンを並べ、あとで「現実じゃありせんでしたー！」ってやりたかっただけに見える。
大体、こんなダブルシンクなんて世界が成り立つはずがない。認知や解釈を自分の都合のいいように塗り替えながら現実世界にも生きてるって。そんなの二、三人の家族内ですら矛盾や齟齬だらけになって破綻するに決まってる。元ネタに縛られすぎてて、この設定がこの世界の中で一本立ちできてるように思えない。
これで完結らしいけど、どのみちこんな散らかし方したら続編なんか作りようがないな。
こんな翻弄されて右往左往するだけの九課なんて見たくなかったな……。
