もこもも

怪 〜ayakashi〜のもこもものレビュー・感想・評価

怪 〜ayakashi〜(2006年製作のアニメ)
3.9
『東海道四谷怪談』、『天守物語』、『化猫』の3つのエピソードをオムニバス形式で描いた革新的で芸術的な作品

唯一無二の魅力があった...
『天守物語』も結構好きやったけど
『化猫』がダントツで素晴らしい
作品を通して物の怪の恐ろしさではなく
人の醜さ、恐ろしさが胸を締め付ける...

HiphopなOPが好き
『サムライチャンプルー』思い出した
エピソード毎にOP映像が変わるのもいい
OP映像でも『化猫』が1番好きやったな
松任谷由実さんのEDも人の醜さ、儚さ、
悲しさを感じる本作に合っていて胸に残る

⚫︎東海道四谷怪談
日本の有名な怪談話
愛憎入り混じった悲しき惨劇で、
誰1人として報われない、救われない
ストーリーは好みじゃなかったけど、
演出によるものか惹かれる魅力を感じた
怪談ということで話の締め方が素晴らしい
やっぱり妬み嫉み僻みはあかんね

「恨めしや、伊右衛門殿」

⚫︎天守物語
1917年に泉鏡花によって書かれた戯曲
姫路城を舞台に人間に心を傾けてはいけない
忘れ神と青年の恋を描いた美しく悲しい物語
インパクトのある序盤に恐ろしさを感じたけど
富姫の品のある美しさと揺らぐ感情に魅了された
おちゃらけ物の怪の二人組好き

「あなたの為に花を咲かせてみたくなった」

地に落ちて生きることも死ぬこともなく
在り続ける存在の富姫が悲しい
2人の同じ想いに幸せを感じたけど
上手くはいかず、富姫の涙に胸を痛める
悲しくも温かい結末が素敵で余韻が残った

「これもまた夢の夢ですから」

⚫︎化猫
アニメオリジナルのお話
薬売りの色気溢れるかっこよさと
錦絵のような色鮮やかな作画の美しさ
このビジュアルは魅力的すぎて惹かれる
ストーリー、構成に至るまで素晴らしかった

"形"と"真"と"理"
禍々しい猫の物の怪の演出と
人が為した恐ろしい業に惹かれた
特にラスト1話はストーリーと演出に
夢中になりすぎて一瞬で終わった
なぜ人は人を思いやれないのか...

櫻井孝宏の色気を纏う声にやっぱり痺れる
囁き声の「邪魔立てするな」は惚れた
物の怪退治を専門とする男なんて
どっかの住所不定者みたいで嬉しい

OP : RHYMESTER『HEAT ISLAND』
ED : 松任谷由実『春のかたみ』
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