もこもも

刀語のもこもものレビュー・感想・評価

刀語(2013年製作のアニメ)
4.5
"愛は刀で切れるか、刀は愛で折れるか"

とんでもない傑作...
あまりの素晴らしさに衝撃を受けた
かつて無い切なさも余韻として残る
心から出会えて良かったアニメの一つ
心燻る設定とのめり込むストーリー、
コメディとシリアスのバランスの良さ、
歌詞に心が震える最高の楽曲たち、
個性的な口調と容姿の魅力的なキャラクター、
考えさせられる深みある人間性とセリフ、
バトルシーンのかっこよさ、
愛おし過ぎる七花ととがめの関係性、
全部が素晴らしくて大好き

まじでめっちゃ深いアニメ...
1人1人の言葉と心に重みがあった
回を増すごとに"死"が重くなっていって
観終わった今はその切なさに押し潰されそう
西尾維新原作ということで会話劇ではないけど
語りのシーンは多くてそれがとっても面白い
作画はあんまりなのかもって思ってたら
作画まで良いからほんま質が高い作品

七花、とがめはもちろんやけど
七実、否定姫、左右田右衛門左衛門
完成形変態刀の持ち主、真庭忍軍など
全キャラ誰もが最高に魅力的
まにわには間違いなく噛ませ犬やねんけど
時間は少なくても一人一人丁寧に描かれてて
揺るがない覚悟と人間性がカッコよかった
噛ませ犬やけど決してモブではない

"十二 今日超えて 果ては夢か幻か
 さあさ今宵お聞かせ給うのは 修羅と散る物語"

謙虚に言って人生で3本の指に入る神OP
疾走感があって美しいメロディー
和ロックも作品と合っていて、
映像もかっこよくて見入ってしまう
サビで刀の持ち主が描かれるところも
サビ後セリフの羅列もかっこいいし、
ただ何よりも、歌詞が素晴らしい...
最後まで観た今の自分は
切なさが心に纏わりついて離れない
ちなみにEDもめっちゃいい曲
ED終わりの七花に抱かれるとがめに
胸がとっても締め付けられる
素晴らしい作品には素晴らしい曲があるね

「時は戦国、乱戦の時代
 刀を持たぬ最強の剣法があった」

伝説の刀鍛冶・四季崎記紀の完成形変態刀
天下を統べる程の力を持つと言われる12本の刀
刀を使わない剣術・虚刀流七代目当主の
鑢七花と奇策士とがめの刀探しの旅を描いた物語
まずこの設定がめっちゃ魅力的で、
この時点でどんな刀が待っているのか、
どんな刀使いが待っているのかワクワクした

⚫︎第一話 絶刀・鉋

「鑢七花、奇策士とがめ
 数奇な運命を共にする2人が出会ったのは
 まだギャフンという言葉が古くなかった時代
 睦月中旬のことでした」

1話からとがめに惚れる
真庭蝙蝠の個性強くて好き
変身も凄いけど変身のモーションもすごい
裏切られる前に裏切る、
そういう人間らしいところが好きやった

「俺はあんたに惚れることにしたよ」

<とがめの可愛いシーン>
予測した返答で勝手に話進めるところ
ギャフンもめっちゃ可愛い

⚫︎第二話 斬刀・鈍

「ただしその頃にはあんたは
 八つ裂きになっているだろうがな」

決め台詞を決めるくだり好きやなぁ
第二話の時はこれがほんまに
今後も使われるとは思ってもなかったけど

鳥取の城主はなんか寂しい
土地が変わり、守る民を失い
刀以外の全ての守るものを失った男
運命が違えば分かり合えたのかもって
嫌いじゃなかった、否、かっこよかった

"守るものがある者は強い
それが方便ではないことを、
生きる為に守るものを
必要とする者がいることを"

<とがめの可愛いシーン>
決め台詞いっぱい考えて得意げに話す姿
あとチェリオはやっぱり可愛い

⚫︎第三話 千刀・鎩

「戦国の世も、平安の世も決して
 私たちを癒してはくれない」

何の為に戦うか
何の為に生きるのか
敦賀迷彩は特別胸に残ってる
多分人として好きになった
善人ではないけど悪人ではなく
多くの人の支えになるその強さに惹かれる

まにわにがいっつも噛ませ犬すぎるけど
敦賀迷彩のカッコ良さが際立った
ラストの1対1...勝ったけど
全然嬉しくない、悲しい...
でもそれは敦賀迷彩も分かってて、
命を懸けた戦いやから文句はないけど
でもやっぱり、切なさが胸に残った

<とがめの可愛いシーン>
おんぶも肩車もハレンチで
お姫様抱っこをせがむの最高に可愛い

⚫︎第四話 薄刀・針

「あなた方には到底分からないのでしょうね
 努力することを許されない人間の気持ちなんて」

2つの意味で伝説の回
1つ目は七花の姉である七実
恐ろしすぎる、怖すぎる、
そしてあまりにも強すぎる...
あまりにもの例外的な強さに
お姉ちゃんが悪者にしか見えなくて
まにわにがもはや正義に見えて来る
蝶々結構好きやったねんけどなぁ
命と人生をかけて取得した技を1.2回見て
取得してしまう天性への絶望に同情した

2つ目は錆白兵との決戦
日本一の剣士と謳われて七花でも
勝てるのかって感じさせられたけど...
戦いの描写がないんかい!!!
戦いの描写が一個もなく団子屋の後日談で
終わらせるのは斬新すぎて大好き
主人公は「勝った気がしない」って言いながら
奇跡的な勝利の話を語ってるところ悪いけど
こちとら戦いが始まった気すらしていない
前の話で圧倒的な存在感を出していてたけど
錆白兵の戦う姿は予告だけなんほんま最高笑

<とがめの可愛いシーン>
鎖骨に弱いとがめ
鎖骨にここまで興奮したのは初めて
楊楊(ヤンヤン)のくだり笑った

⚫︎第五話 賊刀・鎧

「おれの女に手を出すな」

とがめをかけての戦い
もやもやするしちかが可愛かった
考えなしもよくないけど
考えすぎはもっとよくない
戦いは技だけじゃないね

「鎧などなくともそなたには20年間
 鍛え続けた鋼の肉体があるではないか
 そなたが私に惚れているというのなら
 力づくで私を守ってみせろ」

<とがめの可愛いシーン>
酒の強要の仕方可愛い
チェリオの真相知った時の反応可愛すぎ
ほんまにめちゃめちゃに可愛かった
忍野忍が余弦に頭乗られた時を思い出した

⚫︎第六話 双刀・鎚

「みんながいなくて、うちっち寂しいよ...」

壱級災害指定地域、踊山
日本最大の豪雪地帯ではあるが
それが災害指定の理由ではなく
そこに住む、いてぞら一族が要因

いてぞら族どんな一族やねん
七花に初めて黒星と傷をつけたのが
一族でも非力なこなゆきって、
大人やったらどうなってたんやろ
こんな恐ろしい一族を滅ぼした奴の
正体が気になるのと、そいつが恐ろしすぎる

こなゆきがめっちゃ可愛かった
「うちっち」も見た目も可愛し声も可愛い
でも自分以外の一族を失った悲しいキャラ
こなゆきの嘘が寂しくて儚くて胸が痛かった
狂犬がこなゆきを乗っ取った時は絶望したけど、
なるほど、攻撃が読みずらい初心者やったからか
狂犬の忍術を破ってくれたことが嬉しかった
ほんで川獺の死がめちゃめちゃに衝撃的やった

刀でなく人としての覚悟を持す
それが正しいのか悩むとがめ
七花ととがめの変化して行く心と関係性に
だんだんと安心と温もりを感じていく

「心変わりなんかありえない
 俺はとがめの刀なんだ」

<とがめの可愛いシーン>
ハンモックの距離感にキュンキュン
照れ隠しが相変わらず最高に可愛い

⚫︎第七話 悪刀・鐚

「それにしてもいい気分だわ
 いえ、悪い気分かしら」

七実がどんなキャラよりも恐ろしい
どんなキャラよりも強くて怖い
いてぞら一族も七実なら納得する
殺すことが趣味とかではなく
雑草をむしるぐらいの感覚やから
善悪とかですらないのもタチが悪い
ただこれだけ冷酷卑劣なように見えて
弟である七花にはやっぱり愛があったね
殺される為に挑んだ七花との戦いも
決して理解はできないけど一つの家族愛の形
これ以外の道はなかったのかなって悲しかった
ED後の七花が眠る横でスイカを食べながらの
「美味しいね」の微笑みがずっと胸に残ってる

「私は刀だわ、あなたも刀
 七花...私の弟...
 私をやっと殺してくれる...」

<とがめの可愛いシーン>
ショートカット初お披露目

⚫︎第八話 微刀・釵

「人間であろうと人形であろうと
 どういう状況でも私はあくまでも
 奇策のみで切り抜けてきた
 逆境も苦境も私の前は等しく日常に過ぎん」

七花がボロクソに言った悪趣味で
空気読めてない屋敷がとがめの家って最高
不要湖、相変わらず舞台が魅力的
不忍の兄貴が強くてかっこいい
海亀はやっぱり噛ませ犬やったか...

意思のない刀vs意志を持った刀
とがめの七花への信頼、意志の持たない刀から
意志を持った刀への変化に胸が熱くなる
命令をただ聞いていた七花が多くの出会いや
戦いを通して、とがめとの旅を通して
自分の意思でとがめの命令を全うしたいと
思えるようになって嬉しかった

「とがめに命じられたからじゃない
 俺が人としてこの心でそう決めたんだ
 俺は刀だが、同時に魂を持つ人間なんだ」

<とがめの可愛いシーン>
悪趣味な屋敷って言われて根に持つところ
心変わりに心配するとがめも可愛い
こちょこちょのシーンは反則級に可愛い
「今夜は寝かさぬぞ」

⚫︎第九話 王刀・鋸

真人間すぎて人間らしからぬ慚愧との戦い
今までの中やったら割とほっこりできて
授業中の腰を落とまくった七花に爆笑
なにより初のキスシーン
とがめらしいキスに惚れる
静かであっけなく地味な決着やったけど
大事なのは慚愧が自身と向き合ってどう進むか
「看板娘です」は完全に虚をつかれた
あれは不意打ちすぎるし、めっちゃ可愛かった

「それともなにか?
 また、また忘れさせて欲しいという
 おねだりのつもりか?」

<とがめの可愛いシーン>
「あっさりしすぎだぁーもう一押ししろぉ」
このセリフと言う姿が最高に可愛くて大好き
勘違いして泣きまくる姿も妬きまくる姿も可愛い

⚫︎第十話 誠刀・銓

「自分の記憶を覗くとは
 自分の苦手意識を覗くということだよ
 自分の記憶っていうのは大抵の場合
 都合よく改変されているからね」

七花ととがめが過去と向き合う話
それぞれが自分の苦手意識と向き合って
過去を乗り越える、過去と踏ん切りをつける
この回は特にそれぞれの成長と変化を感じた
ラストの見上げるとがめの笑顔が胸に残る

「僕は君のことが大好きだった」

<とがめの可愛いシーン>
おにぎりを食べさせてもらうとがめが可愛い

⚫︎第十一話 毒刀・鍍

「だが俺の歴史だ
 お前の全てを俺に見せろ」

真庭忍軍との因縁の終焉
鑢一根と四季崎記紀の出会い
右衛門左衛門 vs真庭鳳凰
刀の毒に乗っ取られた鳳凰vs七花
見どころが多かったし、
戦いのシーンがかっこよかった
四季崎との会話シーンは
引き寄せられる魅力を感じる
2人の約束にとっても心温まった

"これまでの歴史上全ての旅人が
そうであったように
旅の終わりはやはり全ての終わりであることを
まるで知る由もなかったのでございます"

ラストは衝撃と絶望...
思っている展開にならないで...
2人のこれからの会話とか
嫌な予感しかせんかったけど
そんなわけ無いよね...
とがめが人に心を許して
七花が人の心を知って
沢山の幸せが待ってたかもしれないのに...

<とがめの可愛いシーン>
いろいろ理由を述べてこれからも
腹心でいて欲しいって言うとがめが可愛い
そっと手を差し出すとがめが可愛い

⚫︎第十二話 炎刀・銃

「数え切れないほどの何かをしてくれた
 そなたのお陰で気付いた事
 そなたのお陰で分かったこと
 そなたのお陰で見つけたこと
 数え切れなくてもう訳が分からぬ
 そなたのお陰で楽しかった
 そなたのお陰で嬉しかった
 そなたのお陰で笑って喜んではしゃいで
 まるで自分が自分でないようだった
 そなたのお陰で私は
 変われるのでは無いかとさえ思えた
 だけど結局...私は...変われなかったのだ」

かけがえのない大切な存在の死
2人の幸せをもっと
噛み締めておくべきやったって
後になってから気付かされた
もう戻ることはできない、
けれどもその日々は決して忘れない
忘れられない、忘れてはいけない

「俺の所有者はあんた以外にいる訳ねぇだろ
 俺を腹心にしてくれるって言ったじゃねぇか
 刀集め終わっても旅を続けて
 一緒に地図を作るんじゃなかったのかよ
 あんたには俺がいるし
 俺にはあんたがいるじゃなかったのかよ
 あれは全部嘘だったのか」

「ふざけんなよ
 あんたといることが俺の好きな事だったのに
 おれはあんたがほんとに好きだったのに
 これからどうすればいいんだよ
 あんたがいなきゃ俺は何にも出来ないよ」

七花の叫びに胸が切り裂けそう
刀集めが終わって、地図を作る旅に出て
ずっと幸せに過ごすことがなぜできないの
運命もとがめもそれを許してくれない
それが苦しくて、辛くて、痛くて...

「でもな、私はいまとても幸せだよ
 道半ばで撃たれて死んで幸せだ
 これでそなたを殺さずに済んだのだから
 やっとこれで全部、全部やめることができる」

とがめの最期の会話は
死んでしまうことの悲しさと
本心による切なさ、哀しさを感じる
最初は七花の為に嘘を言ってると思ったけど
どうやら、そうじゃなさそう...これが本心
でも七花を想う気持ちは確かにあって
切ない気持ちが胸いっぱいに広がった

「なぁ、七花
 私は自分勝手で自己中心的で
 復習のこと以外は何も考える事ができず
 死ななければ治らないような馬鹿で
 そなたを散々道具扱いした
 酷い、何の救いもないような
 死んで同然の女だけれど
 それでも、私は
 そなたに惚れてもよいか」

刀の破壊を許され
自ら傷つくことを許された
七花の本当の実力に鳥肌が立つ
モブ11人衆との戦いの
スピード感も興奮したけど、
鑢七花VS左右田右衛門左衛門
これが今までの戦いで
一番カッコよかったし熱かった

"事が終わった後にも人と刀に纏わる
歴史的な企みが失敗に終わった後にも
短期間であれ長期間であれ
確かに生きていました
それはきっと誰もが望んでいた事でした"

死ぬ為に戦いに来た七花
刀としての七花は死んだかもしれないけど
戦いの後に七花が生きてことが嬉しい
とがめを殺した首謀者である否定姫と
一緒に行動するのはスッキリはしないものの
城での会話があったからかも知れないし
描かれていない会話があるのかもしれない
でも七花が生きて旅をしてる事が大きな幸せ
今回はノイタミナ版を観たから
次観る時は元のアニメで観たいな

"復讐を果たせなかった者
目的を果たせなかった者
志半ばで倒れた者、思いを遂げられなかった者
負けた者、挫けた、者朽ちた者
一生懸命頑張って、他のあらゆるすべてを
犠牲にしてまで踏ん張って、
それでも行為が全く結果に繋がらず、
努力は全く実を結ばず、理不尽に、
あるいは不合理に、ただただ無様に、
どうしようもなく後悔しながら
死んでいった者たちの夢と希望に満ちあふれた
未来を予感させる前向きな物語、
刀語はここで静かに幕を下ろすのでございます"

OP : supercell『拍手喝采歌合』
ED : ピコ『言ノ葉』
ピコ『Kotonoha-Ballad』
もこもも

もこもも