まういはら

墓場鬼太郎のまういはらのレビュー・感想・評価

墓場鬼太郎(2008年製作のアニメ)
4.8
大好き。これぞ水木しげるワールド!!

「ワンピース」でいう「ロマンスドーン」的な立ち位置なので、厳密には違うけど「鬼太郎誕生日ゲゲゲの謎」の直後と繋がるので、映画見たあとだと入り込みやすい。

なによりおどろおどろしい世界観と原作リスペクトでありながら、ちょっとCG使ったりして小洒落た演出とか、浮世絵というか和紙の上に書いたようなデザインが素晴らしい。2008年に作られたとは思えない。

何かで読んだ1話の展開しか知らなくて、「墓場鬼太郎」自体は初見。でも圧倒的に1話がおもしろい。(YouTubeで1話だけ見られます)
悪い妖怪から人間を助けるために奔走する「ゲゲゲの鬼太郎」と違って、もっとダークヒーロー感があって、薄気味悪く、「イヒヒ」とか「ケケケッ」って笑うのがもともと鬼太郎だったのが衝撃。人間も平気で見捨てるし(特に育ての親のシーンは最高だった)、どっちかというと水木しげるのパーソナルが色濃く反映されてて面白い。「いったい誰が政治してんだよ」とか値上げとか、戦後の成長期の世相とかがよくわかる。

あと野沢雅子の声やば。和数を重ねると鬼太郎とか悟空っぽくなるんだけど、途中までマジで不気味。
ネズミ男はベースは変わってないけど、鬼太郎より賢くて、ちょっとカリスマ性があるのがいい。途中からほんとにかっこよく見えるし、最終話なんだかんだ鬼太郎と仲良いんじゃん!てとこが可愛いすぎる。

あとは猫娘こと、寝子さんの回もたまんない。あんな設定だったんだ。
そしてニセ鬼太郎とは結局なにものだったん...。
あと目玉親父がめっちゃ強い。

敵というか他の妖怪もドラキュラとか狼男とか、西洋風の怪物ばっかりで、日本の妖怪があんまり出てこないのも興味深い。というか鬼太郎vs妖怪という構図がほぼないのが面白い。
水木しげるにとってはいつだって奇妙なのは妖怪じゃなくて人間だったってことですね。

話もよくできてるし20分そこらでサクッと見れるので、映画「ゲゲゲの謎」を見た人におすすめしたい。
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