たまG

ワンダーエッグ・プライオリティのたまGのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

作画演出音楽脚本すべてが素晴らしいです。
私にとってはこれ以上に心酔できるアニメは今のところはありません。
この作品ではすべての描写がアイたちの心理と関わって描写がされています。非日常部分でのワンダーキラーとの戦いやエッグから出てくる娘が、アイたち自身の日常での心理を暗に示している構造を意識すると、この作品には全く無駄な部分がなく巧妙です。また、フリルのエピソードも状況が大戸アイとの対比になっており、以前の大戸アイの母親と沢木との関係性における心情を示す形になっていると考えられます。
4話でのねいるが戦ったワンダーキラーや12話での沢木の言っていることから察せられるように、フリルは「大人になれない存在」で、「少女を汚い大人にしないために死に誘い少女のままの世界に閉じ込めようとする存在」です。
まどマギの名前が出されることが見受けられますが、この作品はまどマギを反転させていると思います。まどマギは端的に言うと「少女が少女のままであり続ける物語」です。魔法少女は成長はしません。永遠に少女です。またキャラクターの属性は変化しません。大人になることは魔女になることであり忌むべきことになっています。
対して、ワンダーエッグプライオリティではその立ち位置にいるのはフリルなのです。フリルは死に誘惑して少女を少女のままの世界に閉じ込めようとし、フリルの友達はアイたちにトラウマを植え付けて停滞させ少女のままでいさせようとします。そうであるならば、この作品は「敵であるフリルを打倒して自殺を止めること」ではなく「子供が子供の殻を破ること」こそが目標なのでしょう。
12話で大戸アイが「愛を求めるだけの子供」であったことを自覚し、愛を返す」ことができるようになったこと、そして特別編の最後にフリルを恐れず青沼ねいるに会いに行ったことで、この物語のメインテーマはゴールにたどりついているのだと思います。
私はワンエグが終われなかったとか終盤が悪いとかとは全く思いません。
最初から最後まで楽しめる、そして今でもこうしていろいろ考えて楽しめる本当に素晴らしい作品です。
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