もこもも

N・H・Kにようこそ!のもこもものレビュー・感想・評価

N・H・Kにようこそ!(2006年製作のアニメ)
4.4
大学を中退してひきこもり生活4年目の佐藤達広が人との出会いや別れなど多くの出来事を通じての変化を描いていた作品

ある日突然美しい女の子と出会って...というロマンチックな始まりとは裏腹に、ただひたすら引きこもりでニートである現実を突きつけれる重たい内容
だからこそ多くの大切なことに気付かされたし、
ストーリーも面白くて心に残ってる

主人公の佐藤だけじゃなくて登場するすべてのキャラクターがそれぞれ苦しみを抱えていて、全員がその苦しみと向き合った結果、前を向いて生きていけるようになるという展開が好き

OPに歓喜したことが最初に抱いた感想
普段自分が聴いていた曲がこの作品のOPに使われていて驚いたし嬉しかった
最も好きなアニメ作品である『ARIA』と同様のROUND TABLEと牧野由依の組み合わせで、まさか他にこんな作品があるとは思わなかったから感激

佐藤の咄嗟に嘘をついて、その嘘に後悔して、
嘘をついている自分を嫌っているところ
ちょっと引きこもりが治ったと思ったら、
またすぐにだめになるところ
人を信じたいと思うからこそ裏切られるのが嫌で、
人から遠ざかってしまうところ
人との出会いと別れを経験することで、
人との関わりがなくなることを寂しいがるところ
現実を打開した方がいいとわかっているのに、
なかなか行動が起こせないところなどなど
さまざまな性格や感情に人間味を感じた

引きこもりである現状の上に自殺志願者のオフ会参加、ギャルゲーやロールプレイングゲームへの没入、マルチ商法による被害など本当に多くの絶望的な展開が描かれていてその度に絶望させられた
ただ実際にそれぞれの状況に陥っている人がいることを改めて理解して考えさせられた

印象的なシーンは数多くあって
・最終回
岬の苦しみにも感情移入したし、佐藤と岬がいなくなってしまわなくて本当に良かった
最後にみんなの幸せな日常を覗けて心が温かくなった
・お母さんとの電話で就職が決まり結婚を誓った彼女がいるという嘘にお母さんが喜ぶ場面の「なんで信じるんだよ」という言葉も印象的
お母さんが喜ぶこともそうだが佐藤が発したこの言葉の奥にある気持ちに悲しみを感じた
・19話で委員長のお兄さんが最後に元気よく働いている姿は観ていて嬉しかった

誰か1人でも自分のことを大切に思ってくれる人がいることの大切さを感じれる名作

「問.なぜ引きこもり続けられるか
 答.衣食住が保証されているから
 
 なまじっか最低限の生活を許されているから
 いつまでも引きこもっていられるんだ
 衣食住の保証がなくて死ぬ勇気もない人間は
 働くしかないんだ」

OP : ROUND TABLE feat. Nino『パズル』
ED : 大槻ケンヂ、橘高文彦『踊る赤ちゃん人間』
牧野由依『もどかしい世界の上で』
もこもも

もこもも