樹

ヨスガノソラの樹のレビュー・感想・評価

ヨスガノソラ(2010年製作のアニメ)
4.0
きっかけは、偶然サントラをyoutubeか何かで聞いたことでした。
甘美でありながら、どこかそっけないピアノに惹かれたことを覚えています。

アダルトゲーム原作とのことで抵抗を感じつつ、しかし観てみると予想外におもしろいカットがあって、好きになってしまいました。
 一番はやはり、日本の田舎にあるノスタルジーやペーソスを湛えた風景が表現されているところで、感覚的にグッとくるものがあります。
 暑くて光が眩しいけどどこか空漠として心細い田舎道。夏だけど半袖だと風邪をひきかねない、肌寒そうで薄暗い屋内。
 そういった、触覚的な描写がこの作品にはあって、それが保護者を持たず寄るべない主人公たちの境遇と合っていて、強いリアリティがあると思います。
 中でもとりわけ、第一話にあった、ソラがワーキングチェアに座って回転しながら、過去に想いを馳せているのを真俯瞰でとらえたカットは素晴らしく、どうにも好きになりました。

ただ正直、複数の女性との交際や、必要以上の絡みシーンなど、性欲に媚びるような描写は僕の性に合わないし、目が誇張されたキャラクターの画風や、所謂アニメ声な声の演技にもまだ慣れきっていません。
 なので好きになったのは、第一話のいくつかのシーンと後半の一部だけなのですが、
しかし、そのわずかな部分が忘れられないほど良かったために、この作品は僕にとってどうしようもなく価値のある作品になりました。
樹