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ミチコとハッチンのんぎのレビュー・感想・評価

ミチコとハッチン(2008年製作のアニメ)
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倫理も論理もかなぐり捨てて欲望のままに突き進む人物たちを、ここまで徹底してダーティーに描ききったという点において、テレビアニメとしては明らかに異質。唯一の良心だったハッチンも、ミチコの傍若無人さとの比較でそう見えていただけで、よくよく考えたら充分イカれてる(ミチコの影響ももちろんある)。どこを見回してもクソだらけ、それでも皆どこか憎めないと感じてしまうのは、すぐれた作画仕事による表情の豊かさだったり、台詞にすべてを託すのではなく目線芝居やアクションに内面性を仮託する演出だったり、とにかく丹念な人物描写によるものだろう。画面を疾走する錆びついたビッグスクーターのごとく、とてつもない速さで破滅へとむかっていくような後味悪い最期も覚悟したが、さすがにほんの僅かながら救いのある最終回だったのでまんまと安堵してしまった。渡辺信一郎が音楽Pで携わる作品はそれだけで3割増し評価になってしまう、でもカシンの劇伴はほんとうに最高だったし、2008年の段階で彼を起用するそのセンスの鋭さにはただただ感服する。
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