そうそう、こういうのでいいんだよと思わせてくれる稀有な映画。
シュミット×ベルタにしては凡作かな。決して悪くはないのだけれど、カメラワークも『デ ジャ ヴュ』に較べれば単調で、やや間延びしている印象。シュミットの生き写しともいえる主人公の個人的追想にとどまらない>>続きを読む
夢と現実、過去と現在がシームレスに交錯する。ありふれた題材なのでややもすると陳腐に映りかねないが、省略の巧さによる画としての持続力が物語をスリリングに駆動させていた。謝肉祭のシーンの猥雑な動線処理も、>>続きを読む
前半マジで最悪すぎる(褒め言葉)。悪夢を煮詰めたような醜悪なイメージのブリコラージュでずっと笑ってた。3時間そのテンションで続けばまだ良かったのだが、だんだん興味が無くなっていった。アリ・アスターアレ>>続きを読む
似たようなテイストの『憂鬱な楽園』と較べると、緩慢な長回しが多く冗長さが目に余る。しかしながら放埒で直情的な若者像の素描は、あの当時にしか撮られ得なかったかのような切実さを有していた。時代がもう少し早>>続きを読む
ブランクを感じさせない会心の出来ばえだが、綺麗にまとまりすぎている印象も受けた。通してライティングが素晴らしく、その貢献もあってかつねにスリリングで冗長さは感じなかったな。カメラワークには随所にちょっ>>続きを読む
16mmフィルムの質感が合いすぎる。過度な台詞に頼らず機微を掬いとる巧さは市川準や森田芳光の手さばき、もはやその域に達しているといえるのではないか。三宅唱が現代日本最高の映画作家のひとりであることに疑>>続きを読む
2023年の映画としての"女性"の描き方、ほんとうにこれで合ってる??? という疑念が最後まで拭えなかった。そこまで込みでランティモスっぽいブラック・ユーモアの一端だとしたら、もはや取り立てて語るべき>>続きを読む
劇場ではどこか冷めてしまっていた自分がいたが、後からじわじわと面白かったような気がしてきた。吉岡秀隆は良い役者なんだな。
カウリスマキの新作なのでおもしろくないわけがなく……。ジャームッシュの新作を観てやれブレッソンだのゴダールだの喩えるシネフィルおじさん、解像度が高くて笑った。あとフィンランドのネカフェおもろ。
本編のほとんどが雄大な自然をバックにした野外撮影であるにもかかわらず、印象に残るのは窓や戸口によって重層的にフレーミングされた"空間”で、スタンダードサイズによる画角の窮屈さもともなってか、それはやた>>続きを読む
豊穣な細部に見惚れてしまう。華美なドラマはなく、曇りがちでアンニュイな風景に人間と動物たちがなずんでいる。そのさまを丹念に掬いとる、慈愛に満ちたまなざしは妙に洗練されていて冷ややかだ。オフビートな物語>>続きを読む
つくりこまれたセットもさることながら武満徹のスコアがたいそう素晴らしく、安部公房にしてはくせの少ない平明な脚本に絶えず不穏なイメージを与えていた。東宝配給だったことからして大衆うけを企図した作品だった>>続きを読む
古き良き日本映画に造詣の深い熟練の外国人作家が現代日本を舞台に一本撮ったらこうなるのか。ロケーションは紛うかたなき現代の東京なのだけれど、ライティングも含めた色彩設計の淫靡さが妙に不穏でおもしろい。も>>続きを読む
3Dで観て良さが増幅されるタイプの映画じゃないような。2D含め観たのは3回目だけれど相変わらず途中で意識がとんでしまった。なんでだろう、『凱里ブルース』はわりと好きなのに。
メンバーのマインドもドキュメンタリーの方向性としても過去に囚われている感じがなくて良かった。2023年の"くるり"がパッケージングされていた。岸田と佐藤の佇まいはカーネーションを彷彿とさせる円熟みがあ>>続きを読む
良くも悪くも無難な仕上がりだが、原作へのリスペクトは感じられた。そもそも原作が映画的に洗練されすぎているので、これを映像に起こすことの困難は言うまでもない。キャスティングが手堅すぎるのがかえってよくな>>続きを読む
ダグラス・サークの翻案。ドラマとして洗練されているとは言いがたい(起承転結の運びかたもやや牽強付会だし、全体の構成としてコンパクトすぎる)のだけれど、それが気にならないほどの圧倒的な画の強度がある。静>>続きを読む
ここ数作くすぶっていたけれど、ついに殻を破ったと言えるのでは。もういちど観たら、ウェスのフィルモグラフィのなかでいちばん好きな作品になるかもしれない。ミニシアターっぽい作風に回帰しているようにも見受け>>続きを読む
木琴を運ぶシークエンスの細やかさ、素晴らしすぎる。
まさに集大成と言っていい。『風立ちぬ』が引退作にならなくてよかった (あれはあれで好きだけれど)。