Eegik

化物語のEegikのネタバレレビュー・内容・結末

化物語(2009年製作のアニメ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

原作未読

西尾維新作品もシャフトのTVアニメもこれまで一切通ってこなかったが(まどマギは観てたわ)、ようやく観た。さすがに名作だった。

ラノベ的なクサさ、気持ち悪さ、セクシズムは確固として存在しているのだけれど、それをアニメ演出で隠蔽せずに突き抜けさせた点が肝だろう。
イクニをさらに露骨にしたような前衛的な画面演出、過剰な言葉遊びによる会話劇。そうしたものには気恥ずかしさも覚えるが、何より劇伴が素晴らしい。時間芸術としての気持ちよさがあった。
個々のエピソードやキャラクター造形自体はそれほど作り込まれていない気もするが、全15話の構成が(主題歌も含めて)とても巧かった。

有名な台詞・ミーム・歌が大量に出てきて、これも化物語だったのか〜といちいちテンションが上がっていた。シャフ度が出てくるたびに観ながら真似しちゃう。
「なんでもは知らないわ。知ってることだけ」がフツーに好き

メインキャラクター以外、まったく人物を配置しない空虚で不気味とさえ感じる世界観はしかし、慣れてくると不思議な心地よさがあった。「人がいない」っていいよね。
国道沿いのミスドをアメリカの荒野・モーテルのように描くのも痛快だった。人だけでなく建物でさえ、必要のないものは描かず、それに従って風景自体が変質する最高の世界観。

現実でもフィクションでも、「雑踏」に気疲れしたら帰ってきたくなるようなユートピア的世界=作品だった。
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