カニペンギン

機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争のカニペンギンのレビュー・感想・評価

4.0
バーニィのビデオレターのシーンで、正直「いや、なんで自首しない?」と思った。死んでいった仲間たちのため……というわけでもない。ということを本人が言っているし、「ガンダムと戦いたくなった」って……無理やりすぎないか?と……。
だけどエンディングで戦時下の子供たちの様子が流れてくると、自然とバーニィの子供時代はどんなものだったのか考えさせられてしまう。劇中、ほとんど設定が語られないがゆえに運命に翻弄された普遍的な兵士として描かれるバーニィだけど、彼はどうして兵士になったんだろうか。親や兄弟や友や恋人が、敵軍に殺されたりしただろうか。あるいは、元気に生きているだろうか。故郷は戦火に包まれたろうか。あるいは平和な街に訪れた兵士が無性にかっこよく見えたのだろうか。なにを見てなにを感じ、なにを信じようと思って生きてきたのか。
国家の大義のために個人が犠牲になるなんてナンセンスだと思う(思える)自分にはさっさと投降しないバーニィが不思議でならないけど、戦わなければ「自分が自分でなくなってしまう」バーニィのこれまでの人生の積み重なりがあって、それもまた戦争の生み出すもの、残すものだと思うと……あらためてバーニィのアルへの最後の司令が沁みたのでした。
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