映画ケーン

明日ちゃんのセーラー服の映画ケーンのレビュー・感想・評価

明日ちゃんのセーラー服(2022年製作のアニメ)
4.4
観返したから書き直し。
やっぱこのアニメ好きかも。

まず、OP曲と映像の疾走感が最高に良い。
学校生活の閉鎖感と気だるさの心地良い側面を描いたアニメ。

フローリングの木目、風呂のタイルの傷、壁の煉瓦の一つ一つの違い、窓枠の塗装の剥がれ、背景がしっかりしてるから実在感があって面白い。

でも、自然が綺麗に描かれ過ぎてる気もする。森に行けば子バエに集られ、足元はコケや泥で滑り、草と土の臭いが鼻をつく。それが自然。
都会人が夢見る自然って感じ、田舎っぺの考える都会が煌びやかな様に。

父が怖い。
タバコを吸う良い父、ってのは良いんだけど、父の登場が少ない上に描き込みが無くて空虚。観客としてはそのわずかなシーンや動きから性格を想像してしまう。それが「良い人そう」「空虚(魂が無い)」「タバコを吸う」「赤い外車に乗ってる」って、歪な性格像が浮かび上がってくる。だから怖い。

ほぼ毎話モンタージュがあるのが気になる。話の筋が無いから。

ショッピングモールに行く回は要らなかった。自然が今作の何よりの魅力なのに、いきなり文明を見せられた感じがした。あの回だけ浮いてる。

これを観て「明日ちゃんみたいに生きよう」となる人がどれだけ居るのか。日々の疲れを癒すものでしかなくて、それは結局何も生まないんじゃないか(今作はその役割としては最高なんだけど)。
その2つは両立させられないのか。『無職転生』『グリッドマン』の様に。
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