大学いもの皮

スター・ウォーズ:バッド・バッチ シーズン2の大学いもの皮のレビュー・感想・評価

4.4
シーズン1よりも、よりエモーショナルで核心に近づいていく物語だった。エピソード4.5.6など帝国時代の物語では、いつの間にか存在しなかったかのような扱いをされていたクローン達のその後の行く末を描く物語として、現実世界とのリンクでいけばマイノリティへの抑圧や退役軍人のセカンドライフといったテーマとしても見ることができ、非常に重層的な幾つもの切り口で語れる作品だと思う。

映画だけ観ていると、クローンの存在は非常に軽くドロイドの代替品のような扱いで、彼らは帝国時代どうなったのかは全く分からなかった。しかし、クローンウォーズからアニメシリーズを見ていくと、彼らにはしっかりとした命が吹き込まれていてそれでいながら非人間的な扱いを受け、悲惨な抑圧を受けていたことが分かる。クローンにしてもボバフェットでのタスケンレイダーにしても、スターウォーズでは今まで非人間的に命を軽んじてきた存在をクローズアップし、彼らの考えや文化を尊重することで多様性を讃歌するというアプローチを取っているように思える。だからこそ、彼らには苦難の道が待っていて物語的に映えるしドラマが生まれる。

そしてバッドバッチでは、非人間的な扱いを受けてこようとも即座に反乱軍となるような安易な展開を使わず、あくまで自分達家族が自立して自分達の生き方を模索するという現代らしいバランスで描いており、そこがまた好感が持てる。俺たちは誰も攻めに行かないがその代わり自分達の家族を傷つけたら許さない、と。そして帝国とは違い恐怖や同調圧力ではなく、自分の意思で仲間を守るために命を投げ出せる、こういった仲間の絆の演出がクローンという特殊な属性ゆえの連帯感故か妙に説得力があるため、思わず涙が出てしまう。

シーズン1と同じくファンサービスやスターウォーズ世界の拡張の楽しさももちろんあるが、バッドバッチを中心としたクローン達の抑圧的な帝国時代における居場所作りというテーマで十分独立して楽しめる作品だと思う。そして毎回、バッドバッチの面々のそれぞれの特徴を活かしたスタイリッシュなチーム戦闘はそれだけで見ていて楽しいし上がる部分である。

とんでもない衝撃のラストで終わったので、シーズン3が待ち遠しい!
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