もるがな

進撃の巨人 Season2のもるがなのレビュー・感想・評価

進撃の巨人 Season2(2017年製作のアニメ)
4.8
作画も曲も高水準なのだが、一番はやはり全体の構成力。これはまさに世界水準で、一流の海外ドラマの脚本力に匹敵するレベルであり、ジャパニメーションの真髄をまざまざと見せつけられてしまった。

原作はかなりドライかつ冷徹な手触りとシュールさがあるのだが、アニメ版はそれをやや希釈しつつも、大スペクタクルの大河ドラマへと仕立て上げており、時折感情を震わすウェットな演出はアニメならではで、原作者をして完全版というのも肯ける話だ。もちろん、アニメを見終わって原作を読むとよりハードさが際立つし、まさに相互補完的な理想的な映像化といえる。

箱庭的世界観と巨人の絶望を彩るのは、徹底した功利主義の世界であり、season2はより「選択」の重さを突きつけられる展開が続く。正しいか正しくないかは結果が出ない限り分からず、それでも進むのが人の意志である反面、訪れた結末はハッピーエンドを約束してくれない。これは2010年代を生きる人間にとっては切実なリアルであり、この時代に出るべくして出た作品であると言えるだろう。

自分は原作をある程度既読済みの上で再度アニメ視聴をしたわけだが、あらためて見ると伏線の多さにビビると同時に、世界の真相を知った後で見ると、各々のキャラの行動理由が深く突き刺さってしまった。リアリズムを語りながらも、しっかりとエンターテインメントを見せてくれるあたり、絶望を描きつつも少年漫画としての本懐もある。これだけ長々と描きつつも捨てエピソードや中弛みが一切ないのも素晴らしい。
もるがな

もるがな