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進撃の巨人 The Final Season 完結編(後編)のicoのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

長年s1で止まっていたところから、1ヶ月ほどで残り全てを見終えてこの月末に挑んだ。
普段アニメを見慣れていないのと、何よりも私個人が作品が伝えたいことや教訓のようなものを追ってしまう癖があるため、ずっと苦しい状態が続いた(個人的にこれは作者の諫山先生がインタビューで仰ってた「帰納法と演繹法」の違いかもなと今になって思う)
映像のことを語れるほどアニメを観ていないけれど、純粋にかっこいいと思えるシーンばかりで、相当力を入れて作っているんだなと感じた。長年続いた人気作品の終結ってすごいなぁ。
ここまできて、やっと、さまざま側面があるこの作品の中で、自分はこう捉えたい的なことに気付けたので書いておきたい。

まず「歴史は繰り返す」について。あのエンドロールでばっちり歌詞が入ってきてまさに絶望だったのだけれど。
強大な力を持つエレンでさえも、進撃の力で見た未来を変えることができなかった、ということが、その言葉をはっきり裏付けている。
一般的に過去未来が見える→歴史改変をするためもがく、となることが多いけど、そんなことはなく史実は変えられない、としている。
そう言った意味で「過去現在未来が同時に存在する」的なセリフがあるのかなと思った。決定しているシナリオは変えられない。

しかし、何かを変えようともがき続けた登場人物たちが、結局大きな物語を変えることはない、というのを壮大な皮肉として捉えるのは、あまりに残酷、というか鬼畜すぎる。

そのなかでの唯一の救いが、アルミンとジークのシーンだった。
自分がこの瞬間のために生まれてきた、と思えることがある。それはすごく些細なことで、でもその時を守りたかったから戦った。
この作品ではじめて共感できた場面だった。

地獄のような世界を散々語ってきた中だからこそ、このセリフがとてつもない威力を発揮したと思う。
個人のいのちは小さく、彼らの果敢な生き様は歴史を左右することなく、簡単に奪うことができる。
人間の生きる価値や生きる意味とは、歴史から見たら些細なこと。であるという事実。

あんな状況でもそのことに気づいたアルミンはすごい。話し合いというテーマを背負ったキャラだと思っていたけど、やはり最後までいてくれて良かった、と思えた。

話は戻るけど、結局、史実だけでは何も語らない。
大きな物語は、削ぎ落とした形で残る。
アルミンたちが危険に身を晒してまで、正しく物語を語ろうとしたのはそれが理由だと思う。
そしておそらく、当事者たちの死後はうまく継承されずに、きっとまた戦いは繰り返される。
繰り返されるなら意味ないのでは、なんて考えこそ、意味がないことはもうわかっているはず。
繰り返すかもしれないけど、アルミンはあの船での談笑の瞬間を守るために行動し続けただけなのだ。
戦争しててもしてなくても、歴史からみたら些細なことを守るために、私たちも日々を生きてるんだと思う。

今の自分の答えはこれにおさまった。
人それぞれの感じ方や考えがあるはずで、誰かと語り合うのに最適な作品。語り継がれていくでしょう。
とんでもない大作。お疲れ様でした。
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