なつふじ

機動戦士ガンダムSEEDのなつふじのレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダムSEED(2002年製作のアニメ)
4.2
#1話
HDリマスター版、今回の再放送で初めて見たんだけど、作画良すぎて笑う。リマスターじゃなくてマジでリメイクじゃん……

でも平井久司みも強くなってるから、アンチにはより拒絶感のある作画になっているとも言えるのか?

#23話
2クール目も終盤になってきたけど、新規描き下ろし作画と、リマスター作画と、リマスターされてないボケボケの作画と、クオリティがカオスなことになってて笑う。

ところでコードギアスの「ルルーシュとスザクの関係」が、ガンダムSEEDの「キラとアスランの関係」を下敷きにしていることは言うまでもないんだけど、今回の再放送で、カレンの元ネタはカガリなのでは?と思うようになった。

反乱軍のボーイッシュ少女パイロットで、無人島で主人公のライバルと遭遇するし…

#25話(27話)
コロナ禍を経た現代に再放送見てて驚くんだけど、オンラインミーティングと音声コントロールの使い方やディテールがかなりリアル……というか解像度が高いことだな

しかし、HDリマスター版は総集編がカットされてて助かると思ってたが…3クール目にもなると本編内に総集編パートが入ってきたり、怒涛の回想が挟まれるようになってきてイライラするぜ……

#26話(28話)
SEEDが女性ウケした理由として、関係性萌えが濃縮された女性的要素を含むシナリオと、平井久司のイケメンキャラがよく挙げられるけど、今回みたいにキャラの感情が爆発する回を見ていると、平井久司の絵って、めちゃくちゃ"エモい"なと思う
つまり、感情が伝わりやすいというか…キャラの持つ感情を増幅する絵。あんま言われてないけど、こういう点で平井久司の絵柄は非常に女性的だ。キラキラさとか繊細さみたいな表面的なディテールの話ではなく、デザインの本質が少女漫画の絵ということね

似たところで、key作品の樋上いたるが挙げられて、いわゆる「いたる絵」は、わりとKeyファンからも批判されることもあるんだけど、美術系の批評家から、2次元的なキャラの感情の伝えることに特化した絵と評価されることも多い。自分はいたる絵好きだし、その指摘は正しいと思う。平井久司と同じく、いたる絵は「エモい」。だからKey作品は泣けるんだと思う

もっとも樋上いたるは女性で、男性である平井久司のルーツはわからないけど…まぁ男性でも女性的(というより少女漫画的)な絵を描く人はいくらでもいるわな

そんなわけで、SEEDもファフナーも、平井久司の絵じゃなかったからここまで女性ファンを掴んでなかったんじゃないかと思う。ファフナーも、ここぞという時に感情を爆発させるキャラの絵が凄いからな…

#28話(30話)
HDリマスター用に書き下ろされたED、「distance」、名曲すぎるだろ……
でも書かれた時期が結構最近だから、どっちかというとFictionJunctionというよりはKalafinaっぽい曲だな

しかしSEEDのEDや挿入歌を聞いて、改めて梶浦由記の原作解釈力の高さに衝撃を受けるわ
というか、4クール内で一回しか流れないような曲に本気出しすぎだろ……

願わくば、劇伴も梶浦由記にやってほしかった。でも、絵柄も脚本も女性的で、音楽まで女性性を持たせちゃうと、やっぱガンダムから離れすぎるかな。

KalafinaとFictionJunctionを解散させたの、マジでアニメ会の大損失すぎる

#50話(最終話)
桑島法子〜〜〜!!!

他のガンダムにはないSEED最大の魅力(にして批判点でもあろうが)はやはり女性作家によるドロドロドラマであり、それはフレイというキャラ無しにはありえず、そういう意味で、フレイはパイロットでもないのに裏の主人公とも言える。
種死の不人気さの原因の1つは、フレイがいなかったことではないか?

ただ、戦争ドラマとしてもSEEDはなかなか良い点をついてたと思う。SEEDは意図的にファーストの展開をなぞっていて、それ故にどちらも戦争をテーマにしていると言えるが……SEEDでは、意図的に子どもたちの戦争を描いている。ファーストより圧倒的に敵味方に子供が多いし、彼らに首軸が置かれている。単なる人気取りのための後付テーマかもしれないが、ここにも、ファーストにない面白さがあるよね。

幼馴染み関係が、友情関係が、恋愛関係が、戦争によって歪んでしまう。アイデンティティの形成期に戦争に巻き込まれることで、軍人であることに居場所を見つけてしまう少年兵特有の歪み。復讐心ゆえのフレイの行動も、女性作家的なドロドロというだけでなく、キラに守ってほしかったという理由もあり、このあたりには、命や家族を守るために占領兵の愛人になる女性が多かった史実も反映しているように思う。

SF・戦記モノとしての粗は多いが、人間ドラマ・戦争ドラマとしては、(Destinyはともかく)ガンダムSEEDは秀作だろう。

作画も綺麗だから、ロボットモノとして見てもハイレベル……と言いたいところだが、SEED最大の問題は、やはりこの「SEED」にあると思う。宇宙世紀ガンダムにおけるニュータイプを意識した概念なのだと思うが、ただのご都合主義の超能力でしかない。
宇宙世紀ガンダムにおいても、ニュータイプは元々は、素人パイロットのアムロが無双するためのご都合主義の概念として創造されたものではあるが……結果として、ニュータイプはガンダムという作品を、大人の視聴に耐えうるどころか、戦争映画という概念を拡張する、一種の哲学にまで発展した。このことを考えると、やはりSEEDという設定のおざなりさと、使い方の都合の良さにはガックリしてしまうところはある。
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