なかずかい

機動戦士ガンダム 水星の魔女のなかずかいのレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダム 水星の魔女(2022年製作のアニメ)
3.8
普通に面白かった。
大河内一楼といえば、『∀ガンダム』で脚本家デビューし、『キングゲイナー』で富野由悠季とタッグを組んだ富野直系の脚本家であり、そして『ヴァルヴレイヴ』の脚本家である(私は『∀ガンダム』も『キングゲイナー』も『ヴァルヴレイヴ』もかなり好きだ)。
そして『ヴァルヴレイヴ』といえば、ガンダム他様々なロボットアニメの要素を取り込んだジェネリック機動戦士ガンダムの作品である。監督も富野直系の松尾衡だし。本作『水星の魔女』は『ヴァルヴレイヴ』の焼き直しのような展開がそれなりに見られるジェネリックヴァルヴレイヴ作品であるので紛れもなく『ガンダム』に連なった作品であるといえる。
二期では『ヴァルヴレイヴ』然りスレッタとミオリネが「再契約」することからストーリーが展開されていくことであろう。楽しみだ。
ただ、「ガンダム作品である」とは「プラモデルなどの商品展開がなされる」という商業的な意義を有している。付け加えて言うならそれ以上の意義もそれ以下の意義もない。ましてやTVアニメだ。ということは最低限ロボットが毎週毎週活躍しなければならない宿命を背負ったアニメであるはずなのだ。作画コスト的に戦うのが難しくとも、洗濯をさせるとか洗浄をされるとか人とか牛とかを大勢抱えさせて宇宙ツアーをするとか。このアニメにはそういった描写が少なかった。少なくとも最終回前の11話までの展開は、巨大ロボットが登場する必要性を感じさせるドラマではなかった。これは残念であった。
ところが最終回12話である。スレッタとミオリネの関係に溝が入るきっかけとなるのであろうCパートでのイベントはまさしく巨大ロボットモノであるが故の展開である。 巨大ロボットで生身の人間を足止めしようとしたことによって生まれたドラマだ。『Vガンダム』の水着のお姉さんの件の進化系でもある。2クール目にも期待。
まあこの演出でプラモデルの売上が上がるのかはよく分からないとは思う。


私はガンダムほぼ全部見てるけれどそのうえで思うに、本作を語るときに「ガンダム感」がどうと言う人が多いがそんなものは存在しません。ガンダム初めてです、とかあんま見たことないです、と言う人は「ガンダム感」とかいう存在しない概念に踊らされずにもっと好きにあれこれ言えば良いと思う。上で言ったようにガンダム作品とは商業的な理由でガンダム作品であるだけなのだ。
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