hinano

機動戦士ガンダムAGEのhinanoのレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダムAGE(2011年製作のアニメ)
4.2
親(フリット)・子(アセム)・孫(キオ)の3世代に渡り、100年に及ぶ戦争を描くガンダムシリーズ。時代により戦況も変わるなか、3人の主人公がそれぞれ歳を取り、成長していく軌跡を追う構成が面白い☑︎

ただよく言われているように、49話でこの壮大な物語を濃縮するが故の駆け足感は否めない。一見子供向けに見える作画も、今まで鑑賞が遠のいていた要因のひとつ(実は放送当時もあまり観る気にはなれず…)
ただ蓋を開けてみるとシリアスな展開が続いたり、大義名分もなく散っていくキャラがいたりと、思わず考えさせられてしまうようなリアルさがあった。

特筆すべきは最初の主人公フリット。少年期にガンダムへ乗り込み、軍での経験から培った価値観が、大人になり、老年期を迎えた現代の倫理観でも通用するのかどうか、、?
そこに真っ向から向き合う孫のキオという構図が面白かった。言わば昭和では当たり前だった価値観が、平成・令和になってもすり合わせられるのかどうかというところ。ガンダムは戦争アニメだけど、現実で見ると男女を取り巻く環境だったり、働き方のところだったり当て嵌まるところは色々あるわけで、世代間を超えた相互理解の難しさを痛感する。

またフリット、アセム、キオの軌跡を過去のガンダム史と照らし合わせて解説されている方がいてとても興味深かった。
フリット編=初代ガンダム、アセム編=80〜90年代ガンダム、キオ編=00年代ガンダムとのこと。確かに各時代の作品に即したオマージュが散りばめられており、宇宙世紀/アナザー問わずガンダム作品を知っていればいるほど楽しめたので、ある程度ガンダムの世界を知った今のタイミングで観れたことも良かったと思う。そして00年代ガンダム(SEEDやDESTINY、00など)が馴染み深い私にとっては、やっぱりキオの行動原理がいちばんしっくりくるのかも。
何より、常にその時代の戦争観を真摯に受け止め描いてきたガンダムシリーズ。このAGEにおいては主人公が代わり作中の時間が経過するにつれ、彼らを取り巻く戦況も現実とリンクするように移ろいでゆく。そこがこの作品の好きなところだし、AGEというタイトルが持つ様々な意味にも想いを馳せたくなる。

エピソードで印象的だったのはキオ編、敵であるヴェイガンの本拠地で出会う、少女ルウとの交流を描くパート。
病で余命わずかなルウに連れられ、“この町でいちばん綺麗な景色”を見せてもらったときのキオの表情が心に残る。敵対地や組織に所属するキャラクターとの交流や、そこからの心境変化を描くストーリーがやっぱり私は好きなんだなあって実感したり。。。

あとキャラクターで好きなのは、キオ編以降登場する女性艦長のナトーラ。半ば嫌がらせで突然艦長に任命され(とても艦長らしくない気弱な性格であるにも関わらず…)、様々な困難に悩み、もがき苦しみ、、、
きっと彼女が自分と同年代だからなのかもしれないけれど、置かれた環境でめげずに努力を続ける姿に勇気づけられた。もしかすると、放送当時に観ていたら何も共感できずスルーしていた可能性もあるけれど、、、(笑)

総じて、当初の印象とは裏腹に、色々と語りたくなってしまう位には結構好きなシリーズになって嬉しい限りです✌︎
hinano

hinano