ひとりぼっちだった二人が互いに少しずつ歩みを寄せていくのが良い。
大人になる途中のチセと、人間になりきれないエリアスが不器用ながらに、それでも確かに一歩ずつ進んでいく様はどうにも世界への希望を感じてしまう。
OPやEDの歌詞からも感じるが、シーズン1は自己受容の話でもあると思った。エリアスとチセを取り巻く大人たちは、エリアスの望むように生きようとしたり、周囲に迷惑をかけまいとしたり、自分の価値をすごく低く見ているチセを一貫してたしなめ、自分を大事にできるように語りかけている。成熟した大人が、未成年の主人公を見守っていることがわかる作品は誠実で安心する。
エリアスとチセは危うさのある二人だが、信頼できる人々が見てくれているとわかるのがうれしい。気づけばうまく生きられない私自身も勇気づけられている。
チセがリャナンシーに言った「あなたがしたようにしていいんだよ」もチセがこれまでかけられた言葉を受け止められたから出た言葉だなと思う。
最終話の、これまでを経てどう向き合っていくかの落としどころが本当に美しい。一つ一つの出来事から2人とも学び合って成熟していくのがわかるから味わい深い。
他者だからこそ感じ方や意見のすれ違いが生まれるけど、人外×人間の交流譚はそのテーマをより分かりやすくしてくれるし、この作品の旨味だなあと思う。
チセの父がなぜ出ていったのか、カルタフィルスがしてきた罪の折り合いをどうつけていくのかは気になるのでいつか作中で触れられたらいいなあ