ゆ

STEINS;GATEのゆのレビュー・感想・評価

STEINS;GATE(2011年製作のアニメ)
4.7
繰り返される悲劇に打ちのめされながらも、何度も歯を食いしばって立ち向かう主人公を描いている。
話題の某タイムリープヤンキー漫画からイケメンヤンキーを引き算して、シナリオの緻密さと圧倒的な悲劇性と圧倒的に癖の強いオタク要素を足し算した様な作品。

映画のバタフライエフェクトに大きく影響を受けていそう。ラストシーンなんかはまさしくそうで、バタフライエフェクトにはない、その作品の監督があえてしなかった展開を、しなかった意味も含めて(ストーリーとして克服して)表現している。

序盤の展開は正直退屈だろう。
それでも私は四回ほど観ている。中毒ではない。
繰り返し見ている理由としては、その退屈な序盤ですら楽しめるようになるからだ。
最初に観たときは今思えば流し見に近かった気がする。
しかし、ストーリー中盤からのジェットコースターの様な展開、さらには終盤の大どんでん返しの際には、「なんで序盤から集中して見てなかったんだ!」と激しく後悔した。
まぁ、シナリオ構成としてそうさせない作りをしている以上、土台無理な話ではあるが……。
こう書いていても予想ができない展開なので、ネタバレにはしていない。
全てのシーンに意味があった。まさしくバタフライエフェクト(蝶が羽ばたく些細なことでさえ、遠方で遥かに大きな影響を与えること)だ。

物語は壮大で、胸が張り裂けるような展開が盛り沢山だった。
主人公を呑み込まんとする悲劇の数々は、観ていて本当に辛い。
それもそのはずで、この作品の原作者は、悲劇を書かせたらアニメ界で日本のトップスリーには入るくらいなんじゃないかと個人的には思っているくらいの方だったりする。

その悲劇の海を泳ぎ切る主人公のタフネスと、それでも折れてしまった彼を支える周囲のサポートには胸が熱くなる。
声優陣も実力派揃いで、主人公の厨二病の台詞すら、終盤では情緒に溢れた名台詞となる。
そうさせるストーリー展開も素晴らしいのだが、演技として体現していく力量あってこそだ。

余談だが、髭男のヒット曲、Pretenderもこのアニメの影響を受けている様子。
ジャケットや歌詞、ボーカル(&Key)の方のツイートを見ても分かる。

あんな素敵な曲が生まれるきっかけになった作品と考えれば、沢山の魅力が詰まった作品であることは分かってもらえると思う。
ゆ