囚人13号

ブラック・ジャック OVAの囚人13号のレビュー・感想・評価

ブラック・ジャック OVA(1993年製作のアニメ)
5.0
出崎のデフォルメは人間を骨格から捉え直すような、表情筋が浮き上がるほどの生々しさを湛えて形成されてる。圧倒的な色気。
人物以外にも汗や照明など光を彼ほど繊細に描き分けられる技術は彼が総帥だろうし、劇画風の静止カットほかスローモーションも絶妙。

構図も素晴らしいものが数え切れないほどあったが、どこにも属さないアウトローの医療従事者の視点を介して社会問題や偏見/国家の在り方まで捉え直すという壮大な作風は手塚治虫がやりたかったことに一番近かったのではないか。

あと例として記しておきたいのが第二話のノワール的構図、窓際に立ったBJの背後の大窓に向かい合う刑事がライターを付けた瞬間姿が浮かび上がるショットが最高すぎて鳥肌立った。アニメでこんな事やられたらたまったもんじゃない。
単純な好みで言うなら第六話を挙げたいけれども、全部が完璧すぎて(BJ風に言うと)各エピソードの割線への完璧な執刀と50分間の芸術的メス捌きというか、とにかく全話神回!
囚人13号

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