囚人13号さんの映画レビュー・感想・評価

囚人13号

囚人13号

生きる(1952年製作の映画)

1.5

申し訳ないがこれは本当に良さが分からない。英国のリメイクの方がまだ面白かった。

用心棒(1961年製作の映画)

3.5

小汚い見た目に反して身の振り方が上手すぎる三船敏郎。三匹の侍に似たようなシーンが沢山あって混同してるが、流石にクライマックスのピストルvs刀は凄いよね。黒澤明ってどうしても殺陣や流血の派手さばかりが取>>続きを読む

椿三十郎(1962年製作の映画)

3.0

これもまた見直したら印象変わるはず。全体的にノリが軽すぎると思うんだけど、やはりラストのどす黒い大流血は必見でしょう。あんな出血量は銀魂でしか見たことない。

續姿三四郎(1945年製作の映画)

3.6

三四郎がデカい西洋人をぶっ飛ばす序盤からして大日本帝国の映画なんだけど、これも悪くなかったはず。前作で倒した男の弟が、仇として三四郎をつけ狙う不良マンガぽい話。とにかくこいつの雪女みたいなビジュアルが>>続きを読む

姿三四郎(1943年製作の映画)

3.9

マーク忘れ。三四郎の台詞脚本が巧みで、早くも脚本家としての才能が垣間見える。例の覚醒シーンも格好良いし、ブラッドスポーツやベスト・キッドなど格闘師弟映画の源流とも言えそう。DVDに検閲で切られた映像が>>続きを読む

メイド・イン・L.A.(1989年製作の映画)

4.0

やっと観れた!躊躇ない発砲から駐車場で男を殺し損ねた後の俯瞰ショットまで、一切の心情描写を排して突き進んでいく。
鏡で映したように刑事と強盗の異性関係が交互に示される(恋人の髪型も同じだし「似た者同士
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カムズ・ア・ホースマン(1978年製作の映画)

3.7

シネスコ画面に広がる草原、文字通り犇めきあう牛の群れを統率する馬上の男など、かなり西部劇的で嬉しい(時代は1940年代らしい)。落馬して傾斜を転がり落ちる速度、ラストの放火も中々の迫力でアクション映画>>続きを読む

エフィ・ブリースト デジタルリマスター版(1974年製作の映画)

2.0

開始5分で苦手なファスビンダーと確信…。構図内で異様な存在感を放つ鏡≒虚像はドライヤーの遺作を意識してるんだろうが、とにかく起伏の無さと大量のホワイトアウト(章終わりの余白ページ的な?)で胸焼け。あと>>続きを読む

男の出発(たびだち)(1972年製作の映画)

3.5

面白かったけど期待しすぎた。カウボーイに憧れる少年が牛運びのゴロツキ集団に仲間入りし、虐げられながら旅を続けるニューシネマ風。リアリティ志向はいいけど、クライマックスで覚醒しないからフライシャーより大>>続きを読む

トワイライツ(1994年製作の映画)

3.8

うおお…これはかなり面白かった、寺山修司meets伊藤高志というか。午前か午後かも分からない3時で止まった時計と戦前の風景、飛び跳ねながら彷徨する少年。カットが適当なようで全部繋がってるし、誰かの走馬>>続きを読む

思春期/ジャンヌ・モローの思春期(1979年製作の映画)

4.5

これは平仮名で書きたい「やさしいせかい」。主要人物を正面カットで一気に紹介していく冒頭からぐっと心を掴まれる。

葬儀の火を灯す儀式然り、一つの行為からそこに暮らす人々は長い間そうしてきたのだろうとい
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自由の暴力 デジタルリマスター版(1974年製作の映画)

3.7

宝くじで大当たりしたゲイが詐欺男に騙され破滅するという、2分で思いついく話を2時間かけて見せるファスビンダー節。確かに致死量のホモだわこれ…。
『マリア・ブラウンの結婚』と同じく人と環境の不均衡が服装
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リリー・マルレーン 4K デジタルリマスター版(1980年製作の映画)

4.3

あまりにダグラス・サークすぎる男女の出会いから、歌唱シーンの度に増えていく照明量にぶっ飛ばされた。知名度を獲得し、スターになっていくのに胃もたれしかしない。
レコード、ラジオと何重にも屈折して籠った歌
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ショックプルーフ(1949年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

撮影チャールズ・ロートンってマジ…?前半と後半でヒロインが別人みたいになる映画。人格が180度変わる契機もよく分からず、ただ男の方も簡単に正義の象徴(記念時計)を手放してしまう。逃避行のための売却、移>>続きを読む

放浪の画家 ピロスマニ(1969年製作の映画)

4.0

明らかに絵画を意識している撮影が良く、ほとんどのショットで被写体を正面/真横から収めている構図はピロスマニその人の作品を想起させずにはおかない。背筋を伸ばし、顔だけがやや前傾気味になって歩く彼の姿も半>>続きを読む

青い目のロバ/マグダナのロバ(1956年製作の映画)

3.7

アンデルセン童話みたいな話なのに画がめちゃくちゃ強くて、人の顔面も子供まで濃い。無人の納屋へ娘が駆け寄っていくショットのソフトフォーカス、直後の再会も一瞬で処理されてしまう速度感がとにかく贅沢な映画。>>続きを読む

ピロスマニのアラベスク(1985年製作の映画)

3.5

静物(絵画)に音楽をつけていくイオセリアーニみたいな冒頭から、謎の実写舞台劇へ繋がっていくシュールな短編。それでも画面が綺麗だから疑問を持たず観てられるのだが…。フェリーニすぎるラスト。

ウジュムリ(1934年製作の映画)

3.8

いまいちカットが繋がってない『ブバ』からたった4年で完成度がレベチ。何より被写体との距離感が素晴らしいよね。イオセリアーニに30年先駆けて森林伐採を撮ってるし、水牛が底なし沼に沈んでいくシーンの異様な>>続きを読む

ブバ(1930年製作の映画)

3.3

『母と娘』で言及されていた通り祭壇画で始まるまさかの半ドキュメント。流木と列車の多重露光が示唆的で良い。円環ダンスや自然災害に対する祈りなど、儀式的な身振りがその土地に根付いた文化・歴史を表象する。

ペチョラ川のワルツ(1992年製作の映画)

3.3

皮肉な設定ありきで結局何も進展ないので睡眠中くらい108分が長く感じた。まぁ歴史背景に詳しい人なら楽しめるかも…。
白黒の雪嶺を彷徨う母たちに当てられる硬質な照明が、故郷で暮らす少女の暖色系のそれと分
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母と娘 - 完全な夜はない(2023年製作の映画)

3.5

ジョージア初の女性監督ヌツァ・ゴゴベリゼの波乱に満ちた生涯を、同じく映画監督である娘ラナが語っていくドキュメンタリー。
面白いんだけど彼女の監督作を諸々無視してこれだけ観ちゃったので、知らん映画の特
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ロビンソナーダ(1987年製作の映画)

3.3

記録映像と同じ質感で過去が語られ、時たま時系列が交錯するファスビンダーやソクーロフみたいなことやってるんだけど、そもそもこの語り口に興味が湧かず…。電柱周りをイギリス国土として抵抗を続ける男の挙動(ロ>>続きを読む

19世紀ジョージアの記録(1979年製作の映画)

4.0

左右に揺れ続け、主観に徹することを拒むようなキャメラの存在感が凄い。人物の位置関係もずっとバクってて、片方ずつを捉えた対話から全景へ繋がれる瞬間の距離感にビビる。切り返しショットに宿るサスペンス性がち>>続きを読む

眠りの館(1948年製作の映画)

3.7

夢遊病、催眠、孤立、殺人とオモロい要素しかないノワール。夫が運んでくるココアや螺旋階段を見上げるショットは確かにヒッチコック。ブラインドが閉められ、アイライトが目元を切り取るように当てられるクローデッ>>続きを読む

ハロルド・ディドルボックの罪(1947年製作の映画)

3.5

『人気者』の大団円で始まり『要人無用』的なクライマックスを迎える、完全にロイドの懐古厨映画。体を張ったアクションは明らかに衰えが見えて辛いが、キーストン・コメディみたいな使われ方のライオンが(構造的に>>続きを読む

悪魔と夜ふかし(2023年製作の映画)

3.8

キャメラの持つ絶対的な力≒記録性を信じている一方で、生放送という設定上カット感覚が薄いため滑らかな一貫性が生まれている(観覧客の存在がそれを助長してると思います)。

少女が画面に映ると発生するノイズ
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誘拐魔(1947年製作の映画)

3.5

夜景がウルマー『青ひげ』みたく神秘的に撮られていて、話に何も関係ないボリス・カーロフの存在感に拍車がかかる。経年劣化で曇ってる窓越しのショットとかたまらんし、ヒロイン枠に留まらないルシル・ボールのアク>>続きを読む

パリのスキャンダル(1946年製作の映画)

3.3

衣装、装飾は一通り見事だが話に引き込まれなさすぎて残念。言い寄るのは男の方なのに受難は常に女性側というサークぽさこそあれど、それをメロドラマではなく「罪人から権力者となった男」のピカレスク・ロマンのま>>続きを読む

HAPPYEND(2024年製作の映画)

3.0

音の繋ぎと照明が抜群に良くて、人物造形も上手いので愛着湧きやすいとは思う。
ただ俯瞰や電灯の使い方など、台湾ニューシネマやりたいのは分かるが全体的にショット見せたい欲が先行しすぎてて苦手です。

この
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大学-At Berkeley(2013年製作の映画)

3.5

多様な国籍、人種、世代の意見が交わされる場としての大学が見られるのは冒頭だけで、8割近く屋内の対話で疲れた…。4時間ほぼ休むことなくずっと誰かが喋ってる。
切り返しもほぼ無いんだけど画角的にフレーム内
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第九交響楽(1935年製作の映画)

3.0

少年の親権をめぐる複雑な男女関係=ちゃんとメロドラマで驚いた。オペレッタというより舞台上の演奏/歌唱を捉えたシーンが長くて、品が良くても冗長なだけでは当然退屈。
後にキャメラマンが変わってから、徐々に
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夏の嵐(1944年製作の映画)

3.3

擬似的な回想形式といい、人物/装飾品の影を強調する照明設計といいサークもハリウッド製ノワールに適応しようと頑張ってる。
この頃から主人公にしか分からない小道具のメロドラマ的な反復があって、マクガフィン
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ヒットラーの狂人(1943年製作の映画)

3.5

亡命者たちの反ナチ潮流を代表する一本。アンジェイ・ワイダみたいなレジスタンスの男女のメロドラマで、死を恐れないチェコ人と生に縋るドイツ高官の対比は安直ながら効果的。
教会の処刑シーンも見事だったが、そ
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世界の涯てに(1936年製作の映画)

4.0

想像以上のメロドラマで、ドイツ時代では一番良かった。将校である恋人の罪を被って服役した女性歌手の話。冒頭の淫らな格好と、後半の薄汚い衣装の対比が何とも皮肉(双方とも批判の的となってしまう)。ようやく出>>続きを読む

南の誘惑(1937年製作の映画)

3.5

絶壁へのパンに始まり大波で終わる、故郷を離れ異国で暮らす女のメロドラマ。市民ケーン並に時間飛ぶし、冒頭とラストの歌の反復が心情を相対化する構造は何ともサークらしい。どうでもいいけどツァラ・レアンダーの>>続きを読む

最前線(1957年製作の映画)

4.5

個人の事情や同郷の友といったバックボーンは戦場において何ら意味を成すことなく、全ては一発の銃弾の前に崩れ落ちていく。敢えて背後の人生に触れられず、兵士たちは命を落として始めて人格が過去形で語られる皮肉>>続きを読む