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攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEXのjackのレビュー・感想・評価

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(2002年製作のアニメ)
4.5
ある状況をつくり出したい。ただそれのみを願う、演出するものとしての悪役。押井守のパト&パト2やフィンチャーの「セブン」、ノーランの「ダークナイト」といったフィルムに焼き付く世界は、悪役によってコントロールされ、演出されたものである。
しかし、やはりそれは、極めて虚構的な願いに過ぎないのかもしれない。
ネットが星を被い、電子や光が飛び交う。情報は止めどなく複製し、伝播し続ける。
いくつものまなざしが、演出を拒み、歪め、発散させる。
私たちは網上で踊る。演出が不可能となった今、繋がりを持たないひとりとして、人々は踊り続けるほかにないのだ。
「ジョーカー」は踊る。フィルムの上で踊る彼は、正しくコメディアンであるだろう。
「ザ・バットマン」のリドラーも、踊るタイプの悪役だ。ネットでなにかを呟けば、どこかの誰かが反応を起こして、その規模が大きくなることもある。しかし、決してそれはコントロールされたものではなく、やはり繋がりを持たないものの集合であるのだ。繋がらないものたちの、微細な蠢き。
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