映画ケーン

東のエデンの映画ケーンのレビュー・感想・評価

東のエデン(2009年製作のアニメ)
3.2
OPでOasisの『Falling Down』流すのはズルいw
しかも映画ネタが結構ある。
主人公が「9番」なのも多分『太陽を盗んだ男』だよねw

「100億やるから世界を救え」と言われ、選ばれた12人が独自の方法で世界を変えようとする…

と、聞くと面白そうなんだけど、実際は”なぜか”記憶喪失になった主人公が自分を見つける話みたいのになってて、政治的な内容は一切無ければ、「正義とは」みたいな問いすらも無い。

中高生向け感が凄い。
ミサイルが11発飛んで来て普通に暮らしてる日本って、流石にリアリティない。「ゴジラ来た後に仕事してる」は、まぁギリリアルとギャグの間で良かった。でも今作では自衛隊の姿も無ければアメリカの姿も無いし、警察何しとんじゃ感も凄い。
「社会派アニメ」って言われてるけど、全くもって違うと思う。定義的には「社会派」に入るだろうけど、スコセッシのシネマ的な見方で言えば全然「社会派」では無い。
ハーフの姉ちゃんみたいに「利己的な幸せ」、医者のおっちゃんみたいに理想主義に近い周りを幸せにしたいという「利他的な幸せ」、官僚の兄ちゃんみたいに現実主義的な「利他的な幸せ」とか、人は金があると自己中になる、とかいう抽象的な信念を描いて誤魔化す様な作品を「社会派」と言っていいのかは疑問。
何でも出来る携帯があるのに、何で誰も日本の軍備増強をしないのか(その逆でも良い)。何で北朝鮮とかじゃなくて海自にミサイル撃たせるのか。北方領土に北朝鮮がミサイル撃つとどうなるのか、とか見たいけどね。
官僚やってた様な人が考える「日本を良くする方法」がどっかで聞いた事ある「日本をぶっ壊してもう一度戦後からやり直すんじゃー!」ってのは、その程度?って肩透かし感がある。オジマンディアスみたいに「そう来たか!」って驚きは少なくとも欲しかった。
もっと具体的なものを見たかった。

『デスノート』みたいにノートの制約を逆に利用する、ロジック的な面白さも無い。

主人公が英雄に”見える”のは誰かがミサイル撃ってくれるから。「不利な役回りをする人がこの国には居ない」って言うけど、今作での「不利な役回り」はミサイル撃ってる奴じゃね?とも思う。

フルチンというアホさは良かったw
映像も結構良かった。

でも、結局は説教臭い。
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